ノムさん、名誉監督＆永久欠番の申し入れを保留…楽天

島田オーナーとの会談を終えた野村監督は、待っていたファンに歩み寄り挨拶

　◆楽天０─５ソフトバンク（１１日・Ｋスタ宮城）　楽天が今季のレギュラーシーズン最終戦となるソフトバンク戦に完封負け。試合後、野村監督が島田亨オーナー兼社長と会談した。すでに今季限りでの退任が決まっていたものの、これまでの功績から「名誉監督」への就任、背番号１９を永久欠番とすることを提示された。ノムさんは態度を保留。１６日からはホークスとのクライマックスシリーズ第１ステージ（Ｋスタ）が始まるが、ひと波乱ありそうだ。パ・リーグはこれで公式戦全日程が終了し、日本ハム・ダルビッシュが最優秀防御率、最優秀投手（最高勝率）の２冠を手にした。

　午後１１時３０分。島田オーナーとの会談を終え、野村監督がクラブハウスから駐車場に姿を見せた。「ノムさん、辞めないで！！」。寒空の中で出待ちしていたファンの叫びが響く。老将は車へ乗り込もうとせず、その群れへ歩いて行った。「ありがとね」。野村コールが連呼される中、柵越しにハイタッチを交わした。

　最終戦を終え、島田オーナーから告げられたのは「名誉監督」就任と、背番号１９を永久欠番とする提案だった。同時に、それは監督の座から今季限りで退くことを意味していた。「今年で終わりということはハッキリしている。理由は年齢でしょう」。試合前、米田球団代表に「僕の来年はあるんですか」と聞くと、返事は「ありません」だった。

　すでに次期監督として今季まで広島を率いていたブラウン監督の名前が挙がっている。「ＣＳまで出て解雇されるとは思わなかった。我々の常識にそういうのはない。代表は言った覚えはないと言うんだが『優勝して続投しましょう』と何回も聞いている」。契約は今季限り。続投へわずかな夢を抱いていたが要請はなかった。

試合前にクビを宣告された野村監督は、スタンドのファンに向かい首を切るポーズ

　名誉監督の就任は保留した。「しばらく考えさせてもらいたい。誰が監督になるか分からない。うるさい存在になっちゃう。次の監督のことも考えてやらないと。亡霊みたいな、幽霊みたいな仕事。それが果たして、楽天のためになるのか…」。試合直後は「ファンへのエクスキューズ。そんなものいらない。ファンが怖いんだと思う。騒ぎを抑えるための戦術だ」と拒否する構えだったが、熟考することにした。

　野村監督との会談後、深夜に会見した島田オーナーは「未熟で弱かったチームを引き上げて頂いたのは、監督の功績。象徴的な存在になって頂きたい」と要請理由を語った。続投を望むファンの声を「愛情、愛着があるのは自然なこと。参考にさせて頂きたい」とも述べた。

　楽天は球団創設時、ファンのための番号として「１０」を永久欠番とした。メジャーではケーシー・ステンゲル監督の３７番をヤンキース、メッツが欠番にしているが、日本で指揮官の背番号が永久欠番となるのは異例。退任を惜しむ声が絶大だったことで、改めて野村監督の存在の大きさを感じたのかもしれない。

　公式戦生涯成績は１５６５勝１５６３敗７６分け。「そりゃあいかん。オレらしくない。負け越して終わらないと」とノムさん。２４年間の監督生活は、貯金２で一応の幕を閉じた。