虎は弱かった…真弓阪神、無散CS逃す
「ヤクルト3-1阪神」(9日、神宮)
阪神の09年シーズンが終わった。CS進出をかけたヤクルトとの神宮決戦に連敗。4位、5季ぶりのBクラスが確定した。まさに意地と意地のぶつかり合い。執念で上回ったヤクルトが、初のCS進出を決めた。「勝ちたかった…」と悔しがった真弓明信監督(56)。この思いは来季にぶつけるしかない。
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勝利への執念がヤクルトより劣ったのか、気力、体力が144試合の最後に尽きたのか。神宮決戦でヤクルトに連敗して4位が確定。3年連続となるCS出場は逃した。
三塁ベンチを飛び出した真弓監督は怒号と歓声が飛び交う中、クラブハウスへと歩いた。真っすぐ前だけを見つめたこれまでとは違い、超満員のスタンドを見上げて「よう入ってるな」とつぶやいた。そして三塁、左翼と目に焼き付けるように視線を移していった。
スタンドからの「お疲れさま」の声に帽子を取って応えると、フェンス際ではグラウンドに振り向いて一礼。球場を後にした。09年が終わった。
悔しすぎる敗戦だった。前夜の館山に続き、石川の前に凡打の山を築く。チャンスが訪れたのは2点を追う七回。無死一塁から狩野の当たりは遊撃正面の当たり。併殺かと思われた次の瞬間、鬼崎が失策で一、三塁のチャンス。続く代打・高橋光が中前打で1点を返す。ところが直後無死一、二塁で平野がバント失敗。関本の場面はカウント2-3から走者がスタートを切るが打ち上げて右飛。進塁できなかった。
さらに続く鳥谷の当たりは中前へ抜ける同点打かと思われたが、この回から守備固めに入った二塁森岡が横っ跳びで止め、内野安打。2死満塁で4番金本が打席に入った。3万3218人超満員のスタンドのボルテージは最高潮に達したが、初球をまさかの捕邪飛。ナインが、ファンが言葉を失った。
試合後、指揮官は「なんとか勝ちたかったけどね。最後の望みをつなぎたかったけど惜しくも…」と力なく話した。
力及ばなかった。その事実は受け止めなければならない。「確実に送るとか転がすとか、できることをしっかりやるということが、もうひとつできていない。実力以上のものを出そうとしても無理だからできることの質を上げていくことが大事になる」と課題を挙げた。
宿舎に帰るとナイン、スタッフを集めて話した。
「この悔しさを忘れちゃいけない。この悔しさを来年優勝という形で返そう」
やられたらやり返すしかない。目に焼き付けた光景を忘れることはない。2010年の5年ぶりVを胸に誓い、背番号72が監督1年目を終えた。