(CNN) イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザの侵攻を「戦争犯罪に相当する行為」と厳しく批判した国連人権理事会の報告書について、パレスチナ自治政府のアッバス議長は11日、報告書を支持する決議案の採決を先送りさせた決定の正当性を主張した。
報告書は同理事会の調査団を率いた南アフリカのリチャード・ゴールドストーン判事が作成したもので、イスラエルを特に厳しく批判している。アッバス議長は決議案への支持を土壇場で撤回し、パレスチナ域内の強い反発を招いた。
しかし議長は、決議案が「必要数の意見」を集めておらず、広範な支持を得ていないと発言。「支持を集められないと判断したので、近く開かれる同理事会の会合での採決延期を要請した」と語り、同理事会の各種グループの合意に基いて延期が決定されたと強調した。
報告書が先月発表されて以来、イスラエルの国連大使は内容が偏向していると主張。また、報告書はパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの武装勢力にも言及しているものの、ハマスはアッバス議長が採決を延期させたことでパレスチナ人を裏切ったとの見方にある。ハマスの政治部門指導者ハレド・メシャル氏はシリアの首都ダマスカス市内で、「われわれは忠実かつ真のパレスチナ解放機構(PLO)代表者を求めている」とコメントし、アッバス議長を批判した。
アッバス議長は、「ハマスは発表前に報告書を拒否し、発表後にも受け入れない姿勢を示した。和平合意の署名延期を図るのがハマスの活動目的であることは承知している」と述べた。