90年に女児(当時4)が殺害された「足利事件」で再審開始が決まった菅家利和さん(63)が、不起訴となった別の女児殺害事件について栃木県警の取り調べを受けた際の録音テープに、捜査員の問いかけに応じて「自白」内容を変えている場面があることが関係者の話で分かった。
関係者によると、やりとりがあったのは、菅家さんが足利事件で起訴される前日の91年12月20日。79年に足利事件の現場近くで起きた女児殺害事件について、県警の捜査員2人が足利署で調べた。
「(犯行を)いつやったの」という捜査員の問いかけに菅家さんが2度「仕事が終わってから」と答えた後、捜査員が「昼なら明るかんべ。夜だと暗くなるだろ」と指摘すると、菅家さんは「じゃあ夜です」と供述を変えた。
また、遺体を殺害現場とされた神社から約2キロ離れた河川敷に運んだ手段を捜査員が尋ねると、菅家さんは「自転車にひもで縛った」と供述。捜査員が「それ、落ちるだろう」と問い返したところ、菅家さんは「ビニールの袋(に入れた)」と応じ、捜査員は「透き通っていないものだな」と念を押した。
菅家さんの弁護団は「誘導があった」として自白の任意性を調べるため、再審では検察の取り調べ録音テープとともに証拠調べを求める方針。一方、取り調べ当時の県警の元捜査幹部は「誘導は一切なかった」と話している。