オバマ米大統領が9日、今年のノーベル平和賞に選ばれたことに国際社会から称賛の声が上がる一方で、反米の国や勢力からは批判や皮肉交じりのコメントが相次いだ。
反政府武装勢力タリバーンと米軍などとの戦闘が続き、オバマ氏が増派したアフガニスタン。カルザイ大統領は「世界平和と、友好的で良好な国際関係を生み出そうとするオバマ氏の意思と努力は受賞にふさわしい」と報道官を通じて祝福した。一方、タリバーン報道官はロイター通信に「アフガンに追加派兵し、戦争を悪化させた男の受賞は馬鹿げている」と批判。「『暴力の助長と市民殺害』という(部門で)ノーベル賞を受けるべきだ」と皮肉った。
核開発問題をめぐり、米国などと協議を続けているイランは、モッタキ外相が地元通信社に受賞は「時期尚早」とコメント。さらに「米国がアフガニスタンとイラクから兵を引き揚げ、抑圧されているパレスチナの人々に寄り添った時が、受賞にちょうどいいタイミング」と話した。
イスラエルとの和平交渉が停滞するパレスチナでは、自治区ガザを支配するイスラム組織ハマスのハニヤ首相が「米国がパレスチナ人の権利を認めるよう根本的な政策変更をしない限り、このような賞は無益なものになる」と述べ、ハマスをテロ組織とみなす米国を牽制(けんせい)した。
半世紀近く米国の経済制裁下にあるキューバでは、政府系ニュースサイト「クーバデバテ」が「平和賞を受けた以上、キューバとの通商戦争も終わらせるべきだろう」などと、制裁解除を訴える論評を載せた。(テヘラン、エルサレム、ロサンゼルス)