ミャンマーでデモを取材中だった日本人ジャーナリスト、長井健司さんが治安部隊に射殺されて2年が過ぎました。当時、その瞬間の映像を世界に配信したのが“ビルマ民主の声”という匿名のジャーナリスト集団です。軍事政権下で命がけで取材し、報道する彼らについてのドキュメンタリー映画が完成し、話題を呼んでいます。
2007年9月、ミャンマーで起きた大規模なデモ。取材中の長井健司さんは治安部隊に至近距離から撃たれました。
この映像を撮影、いち早く報道したのがDBV=“ビルマ民主の声”というジャーナリスト集団です。ミャンマー人およそ100人のネットワークだという彼らは、検閲が横行し、外国メディアの自由な取材が不可能なこの国で、何が起きているのかを命がけで伝えようとしています。
「カメラを持つ手はおそらく震えている。心臓の鼓動も早い。しかし、少したてば落ち着いてくる」(ドキュメンタリー映画「ビルマVJ」より)
これは、このほど完成したドキュメンタリー映画。逮捕、投獄の危険と常に背中合わせに撮影する“ビルマ民主の声”の映像を中心に構成されています。映画には彼らの顔も本名も一度も登場しません。このデモを撮影したメンバーの中には、逮捕され、終身刑を言い渡された者もいるといいます。それでも彼らは活動をやめていません。
こうした映像は極秘に海外に持ち出され、本部があるノルウェーなどから衛星やネットで配信されます。そして、それはミャンマー国内でも見ることができるのです。
「“変化が起きる”という期待がある。だから彼らは危険を顧みないのです」(ヤン・クログスガード助監督)
長井さんの死から2年。ミャンマーでの報道の自由は改善されてはいませんが、その芽は確かに存在することを映画は語りかけてきます。(09日19:34)