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ノーベル平和賞:アフガン、パキスタン国民 心境複雑

 「核なき世界」を訴え、国際協調路線にかじを切ったオバマ米大統領だが、米国の「対テロ戦」の主舞台と位置付けられ、多数の民間人が巻き添えになっているアフガニスタンとパキスタンの人々は、戦争を指揮するオバマ大統領のノーベル平和賞受賞を複雑な思いで見つめている。両国では9日も武装勢力による自爆テロが発生、女性や子供ら計約150人が死傷するなど治安の悪化が止まらないからだ。

 「オバマ氏はまだ何もしていない。アフガンとパキスタンで強硬に戦争を続けたブッシュ前政権との違いはない。期待外れだ」。アフガン国境に近いパキスタン北西部ペシャワル。9日、自動車爆弾の爆発で40人以上が死亡、100人が負傷したテロ現場を取材したばかりのナシード記者はこう語った。「米国の戦闘強化策が武装勢力を勢いづかせている」との見方からだ。

 オバマ大統領が3月に発表したアフガン新戦略は、米軍増派を柱とした戦闘強化策のほか、旧支配勢力タリバン「穏健派」との対話やパキスタンへの民生支援を打ち出すなど、武力だけに頼った前政権との決別を印象付けた。だが、いまだに新戦略は具体化されず、現地住民は治安の悪化や失業で苦しみ続けている。

 アフガン内務省高官は「新戦略は発表当時、市民に期待を与えた。しかし、今は失望のどん底にある。ノーベル平和賞を受賞したからと言って、もはや大きな期待は抱かないだろう」と語る。モフタール記者も「多くの市民は、米国が自分の国益のために戦争を続け、その犠牲をアフガン人に押し付けていると感じている。そんな国の指導者を平和の使者として見ることは難しい」と複雑な心境をのぞかせた。

毎日新聞 2009年10月9日 22時10分

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