2009年9月20日
70年代に過激なライブや異色の楽曲で人々の記憶に強く焼き付いたバンドやミュージシャン。そのドキュメンタリー映画が、この秋続々と公開される。主役は、あがた森魚(61)、頭脳警察、矢沢永吉(60)。今も時代とともに転がり続け、若者をもひきつける男たちの気骨の源が、垣間見られるかも知れない。
「あがた森魚ややデラックス」は、「赤色エレジー」で知られるシンガー・ソングライター、あがたの還暦記念全国ツアーを追った。
矢野顕子に「特別天然記念物に指定して保護を」と言わしめ、鈴木慶一に「脳内乱暴度が高い」と評された強烈な個性と歌声。そして、故郷・北海道を振り出しに畳敷きの会場や小さなギャラリーまで巡り、東京・九段会館の大イベントで締めくくった旅の全容を、竹藤佳世監督が映像に収めた。10月10日から東京・シアターN渋谷で公開。
「ドキュメンタリー 頭脳警察」は3部作で計5時間余りという大作だ。パンタ(59)とトシ(59)によって69年に結成された頭脳警察は、学生運動の時代を象徴する過激な日本語ロックで伝説的存在になったバンド。パンタは従軍看護師だった母の死を機に戦争の実相を探り、イラクやパレスチナの問題にも向き合ってきた。多彩な音楽家と共演を重ねてきたトシと昨年、再び本格的に組み、話題を呼んだ。
映画は時代と切り結び続ける頭脳警察の過去と現在を重層的に描く。監督は「感染列島」の瀬々敬久。シアターNで11月7日公開。第1週は3部まとめて、2週目以降は2部ずつ上映する。
11月21日からは、矢沢永吉の30年間を描いた「E.YAZAWA ROCK」が東京・新宿バルト9などで公開される予定だ。自身のレーベルも立ち上げ勢いに乗る「ヤザワ」の素顔に迫っている。(藤崎昭子)