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詳報10月6日23時55分更新
補正、各省庁の主な見直し内容 

 各省庁の補正予算見直しの主な内容は次の通り。

 【国土交通省】補正予算額2兆3321億円のうち、38%に当たる8875億円を削減。

 前原誠司国交相は、政府内の調整で一層の削減を求められ「額が変わる可能性がある」として具体的な事業名を挙げていないが、4月の国土開発幹線自動車道建設会議で決まった高速道路の4車線化事業6区間(2613億円)や住宅・土地金融の円滑化対策費(7030億円)などが見直し対象に含まれたとみられる。

 【農林水産省】4763億円を削減。最大は農地集積加速化事業で2979億円全額を返納。農地の貸し手に補助金を出し、集落営農組織など担い手への農地集積を後押しする狙いだったが、民主党は無駄な事業の筆頭格として名指ししていた。耕作放棄地の再利用支援事業は「補正で行う必要はない」とほぼ全額の147億円を返納。コメの転作や飼料米増産など、生産調整を支援する事業は1168億円のうち、実施主体から要望がなかった450億円を削減した。農機リースへの補助事業は生産者からの要望が強く、ほぼ全額の266億円を認めた。

 【厚生労働省】執行停止額は計4359億円。「緊急人材育成・就職支援基金」7千億円(3年間の事業)は、職業訓練中の長期失業者へ生活費を支給する「緊急人材育成支援事業」の2011年度の実施分など3534億円を停止した。

 事業主体が厚労省の「天下り団体」であるため10年度分の停止も検討したが訓練施設の混乱を避けるため見送った。長妻昭厚労相は事業の必要性は認めており、11年度からは新しい「求職者支援事業」に衣替えする。

 未承認薬開発支援などの基金(2074億円)では、不要不急と判断した679億円を執行停止した。

 医療・介護や子育て支援などの予算は必要性が高いと判断。交付先が都道府県で地方への影響も懸念されることから、大半を見直し対象から外した。

 【文部科学省】予算額1兆3174億円の21%に当たる2814億円を削減。最先端の科学技術研究を支援するため研究者に配分する「先端研究助成基金」2700億円は700億円減額。公立学校への地上デジタルテレビや電子黒板の配備を含む「学校ICT環境整備事業」(2087億円)は一部を執行停止する。

 「ハコモノの新設はしない」との方針に基づき、「アニメの殿堂」と批判してきた「国立メディア芸術総合センター」(117億円)は建設中止。科学研究の拠点を都道府県に1カ所ずつ整備する「地域産学官共同研究拠点整備事業」(695億円)も拠点の新設は認めず大幅に減額した。

 【財務省】削減総額は1250億円。金融危機対応で決めた日本政策投資銀行向け政府出資金の未執行分のうち、当面の大企業向け融資に支障がない1127億円を凍結する。埠頭監視カメラなど監視取り締まり用機器などを整備するために計上した37億円のほか、国税電子申告・納税システムなどの開発費用43億円を削減。

 【総務省】削減額は973億円。「定住自立圏構想」で地域活性化に取り組む民間事業者向けの新交付金550億円は未執行のため、半額以下に縮小。「電子政府・電子自治体」の実現に向けた電子私書箱構想推進費(30億円)をはじめ、次世代情報技術の研究開発費などは大幅に削減した。自治体や住民に災害などの緊急情報を伝える全国瞬時警報システム(J―ALERT)の整備費112億円や、市町村合併に対する補助金32億円、携帯電話が通じない地域向けの施設整備補助金100億円などは、国民生活や地域経済への影響が大きいため見直し対象外とした。

 【経済産業省】877億円を削減。独立行政法人の施設整備費や資源探査船建造費を大幅に圧縮した。予算交付先にまだ内示していない事業は中小企業支援策などを除き、原則執行を停止。省エネ家電の購入を促すエコポイント制度は、景気下支え効果や地球温暖化対策の重要性を考慮して停止の対象外とした。

 【防衛省】防衛省関係の補正予算総額1304億円のうち、33%に当たる431億円を執行停止。主な凍結事業は庁舎・施設などの省エネルギー化の124億円で、自衛隊庁舎で使用する白熱電球を消費電力の少ない発光ダイオード(LED)電球に交換することなどを計画していた。

 このほか庁舎の耐震化・老朽化対策の68億円や、自衛隊庁舎へのLAN整備など自衛隊情報ネットワークの統合・高度化の55億円などを削減。

 一方、米軍や自衛隊の基地周辺の住宅防音工事を盛り込んだ基地等安定運用対策費296億円は当初、執行を保留したが、基地周辺の騒音の深刻さなどを考慮し、執行方針に転換した。

 【法務省】削減総額307億円。網走法務総合庁舎(北海道網走市)の改修や、矯正施設の屋上への太陽光発電設置、刑務所職員の宿舎建て替えを停止。再犯防止対策のためのプログラム開発も取りやめた。一方で、老朽化した刑務所や拘置所の修繕、女子刑務所の増設は、収容者の人権に配慮し、執行することになった。

 【警察庁】削減額は259億円。運転者の判断の誤りによる事故を未然防止する「次世代安全運転支援システム」事業の実施個所を減らして75億円を凍結。備品購入の入札価格が予定価格を下回り、168億円の執行が不要になった。警察学校の太陽光発電設置工事なども取りやめた。

 【外務省】予算額536億円に対し執行停止額は100億円。外務省関連の施設整備費は予算額が58億円だったが、ほぼ全額の57億円が削減対象となった。大半が外務省と所管の独立行政法人への太陽光発電設置費用だった。政府開発援助(ODA)は36億円、在外公館の公用車を環境対応車に買い替える費用3億円も執行停止する。

 【内閣・内閣本府】人事院などを含め総額99億円を削減。沖縄科学技術大学院大学(沖縄県恩納村)の整備促進費31億円を全額カット。首相官邸危機管理センターの施設更新費の一部15億円を削減。地方の消費者行政支援を目的とした地方消費者行政活性化基金のうち30億円を削減。

 【環境省】総額1870億円のうち、61億円を削減。地方自治体のごみ収集車をハイブリッド車など低公害車に切り替える補助事業で30億円、皇居外苑の街路灯に導入するLEDの低価格品への変更で23億円をそれぞれ減らす。

 一方、総額の9割を占める省エネルギー家電の購入を促すエコポイント制度と地域グリーンニューディール基金などについては、経済への悪影響を考慮して削減対象外とした。

(初版:10月6日22時17分)
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