発行:明石書店 この版元の本一覧
B5判 360ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-3035-8 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年09月
書店発売日:2009年08月28日
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現代日本の子どもの貧困の実態をデータと事例で明らかにする初めての白書。病院・保育園・学校・乳児院・児童相談所・福祉事務所・母子生活支援施設等子どもを援助する広いネットワークから生まれた本。子どもに関わる人・子育て政策を担う行政担当者必携。
目次
はじめに
chapter 1 現代日本の子どもの貧困
01 子どもの貧困とは
02 現代日本の子どもの貧困
03 ひとり親世帯の貧困
特論 01 成長・発達の権利と子どもの貧困
02 子どもの貧困と自己責任論
03 貧困の世代間連鎖を考える
04 格差・貧困と学力
05 新自由主義の言説と子どもの社会権
chapter 2 子どもの暮らし・育ちと貧困
01 乳幼児
02 小学生
03 中学生
04 高校生
05 定時制高校
06 学校から見る子どもの貧困
07 乳児院
08 児童養護施設
09 自立援助ホーム
10 外国籍の子ども
11 障害児・特別支援教育
12 学校における社会福祉援助
chapter 3 学費・教育費と奨学金問題
01 こんなにかかる学校のお金
02 子どもの教育費
03 就学援助制度における自治体間格差
04 私立高校学費滞納問題
05 貧困に追い打ちをかける奨学金制度
06 教育費負担の国際比較と進学格差
07 世界一高い日本の高等教育費
chapter 4 テーマで考える子どもの貧困
01 健康・医療
02 家族の貧困
03 遺児・ひとり親家庭
04 生活保護家庭
05 暴力・虐待と貧困
06 不登校
07 非行・少年事件
08 性・10代の出産
chapter 5 若者の貧困
01 子どもの貧困と若者問題
02 僕は中卒フリーター
03 無法地帯に押しやられる新聞奨学生
04 厳しい労働市場に追いやられる高校生アルバイト
05 厳しさを増す高卒者就職と内定取り消し
06 県内就職志望者の3人に1人が就職できず
07 高卒後の職業教育訓練
08 雇用と人間関係からの排除
09 ネットカフェ難民と子どもの貧困
10 貧困を生きる若者たち
chapter 6 貧困と地域沖縄から
01 基地の島で進む貧困化と家族
02 気になる子と保護者を支える校内ケース会議
03 働く若者の厳しい暮らし向き
chapter 7 外国に学ぶ イギリス
01 イギリスの貧困問題に対する民間組織の取り組み
chapter 8 なくそう! 子どもの貧困 私たちのとりくみ
01 経済的な支援
02 学ぶことを支える
03 児童福祉施設生活経験者への援助
04 ひとり親家庭への支援
05 貧困と労働を学ぶ
06 多様な支援
07 まちづくり
文献紹介 「子どもの貧困」を読む
あとがき
編集後記
前書きなど
私たちの「子どもの貧困根絶宣言」
「人類は、子どもに対し、最善のものを与える義務を負う」——今から半世紀前の1959年、国連総会は、子どもが権利の主体であることを明確にした「子どもの権利宣言」を採択しました。さらに1989年には「子どもの権利条約」が採択され、世界各地で子どもの権利の実現のための取り組みが進められてきました。
しかし、21世紀に入ってもなお、時代の荒波が子どもたちのいのちと暮らしを脅かしています。
近年の日本社会を見ると、効率と競争を優先する政策が暮らしの貧困化を促進し、いのちの尊厳までをも切り崩しています。子どもたちは成長・発達を侵害されるばかりでなく、まるで早送りの映像のように子ども期を高速化させられ、不当に早い時期からの「自立」を強いられています。「子どもの時期を子どもらしく生きる」という基本的な権利さえも奪われているのです。
しかし、子どもの貧困の現実は、いまだ十分な実態把握がなされておらず、その解決は家族の、そして、子ども自身の自助努力に過度に委ねられてきたのです。一刻も早い政府による貧困の実態把握と貧困率の測定、削減目標の設定、そして削減計画の具体化と実行を切に望みます。
この白書が刊行される2009年は、子どもの権利宣言から50周年、子どもの権利条約から20周年にあたります。まさに、私たちの「子どもの貧困根絶宣言」ともいうべく、この白書には、子ども・若者・保護者・援助者・研究者たちの多様な声とともに、「貧困の連鎖を断ち切ろう」というたくさんの意志と願いが込められています。また、子どもの貧困を見えるものにし、貧困をなくすための方策を具現化させるために、当事者、支援の現場、政策といったそれぞれのレベルに焦点を合わせながら、現状・課題・提言を描いています。
平和学では、直接的な暴力がないことを意味する「消極的平和」に対し、暴力を生み出す構造そのものを改革してゆく「積極的平和」という概念が提唱されています。この平和の再定義に学び、貧困がない社会とはいかなる社会なのか、想像力を創造力につなげながら、私たち市民の希望を社会の希望として現実のものにしていきたい——その積極的な実現の道のりを多くの読者のみなさまと共有できれば幸いです。
『子どもの貧困白書』が必要でなくなる日——その日がくることを願います。
2009年8月 子どもの貧困白書編集委員 代表:湯澤直美
著者プロフィール
子どもの貧困白書編集委員会(コドモノヒンコンハクショヘンシュウイインカイ)
子どもの貧困白書編集委員会
湯澤直美(ゆざわ・なおみ)立教大学コミュニティ福祉学部教員
浅井春夫(あさい・はるお)立教大学コミュニティ福祉学部教員
阿部彩(あべ・あや)国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長
岩川直樹(いわかわ・なおき)埼玉大学教育学部教員
小西祐馬(こにし・ゆうま)長崎大学教育学部准教授
中西新太郎(なかにし・しんたろう)横浜市立大学国際総合科学部教員
平湯真人(ひらゆ・まさと)弁護士
松本伊智朗(まつもと・いちろう)札幌学院大学人文学部教授
水島宏明(みずしま・ひろあき)ジャーナリスト
山野良一(やまの・りょういち)神奈川県厚木児童相談所児童福祉司
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