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検事、机けり少年に罵声 取調べ違法、国に賠償命令

2009年9月30日

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 京都地検検事の威嚇的な取り調べで自白を強要されたなどとして、当時19歳だった男性(21)と谷山智光弁護士(33)=京都弁護士会=が、国家賠償法に基づき、国に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(井戸謙一裁判長)は29日、「自白を誘発しかねない違法な行為があった」などとして計66万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は07年9月、京都市内のコンビニエンスストアで友人3人と共謀し、万引きを見とがめた店員3人を殴るなどしたとして京都府警に傷害容疑で逮捕され、強盗致傷容疑で送検された。男性は同年11月の少年審判で、傷害の非行事実により保護観察処分になった。

 判決は、容疑を否認する男性に対し、検事が机をけったり、「お前らは腐ってる」「とことんやったる」と罵声(ばせい)を浴びせたりしたと指摘。「恐怖感を与え、虚偽の自白を誘発しかねない取り調べだ」と認定した。

 さらに、別の検事が「成人式にも出られない」と言ったことなども認定したうえで、「君の弁護人は弁護士になって1年たってない。あんな弁護士がついて君もかわいそうだ」などと発言した内容について「被疑者と弁護人の信頼関係を破壊する行為であることは明らかだ」と指摘した。

 男性は、弁護士から差し入れられた被疑者ノートに検事らの発言内容などや自分の精神状態を詳細に記録しており、判決は証拠としての信用性を高く評価した。

 判決を受け、谷山弁護士は「違法な取り調べをなくすためには全面可視化が必要だ」と話した。京都地検の西浦久子次席検事は「判決文を詳細に検討し、関係機関とも協議する」との談話を出した。

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