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【社会】

『辞めない』責任強調 五輪東京落選 石原知事『苗は植えた』

2009年10月3日 夕刊

東京の落選を伝える大型モニターを見る人ら=3日午前1時55分、JR新宿駅東口で

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 「本当に無念、残念」。二〇一六年夏季五輪招致で、東京がめざした五十二年ぶりの聖火の夢は、あえなく散った。東京五輪招致委員会会長の石原慎太郎知事は悔しさに目を潤ませつつ、「苗は植えた」と再挑戦に意欲を示した。都内各地では「東京落選」を残念がる声が聞かれた。 

 【コペンハーゲン=石川修巳】コペンハーゲン市内のホテルで二日夜(日本時間三日未明)に開かれた「残念会」。東京応援ツアーの参加者から沸き起こった「石原コール」に、登壇した石原知事は感極まったように「本当に無念。しかし、みなさんのエネルギーは世界に伝わったと思う」と感謝した。

 その後に東京五輪招致委員会が開いた記者会見では、二〇年大会以後の再挑戦や、招致失敗の責任について質問が続出。石原知事は「招致は実らなかったが、苗は植えた。どう育てていくかは、都民や議会と話し合っていく」と再挑戦について前向きに語った。

 一方で自身の去就に絡む責任問題は意に介さず、任期満了まで残り一年余となった今期限りで引退する意向をあらためて示した上で、「途中で辞めることは絶対にない。都政にはほかにたくさんやることがある。それが私の責任」と強調した。

 鳩山由紀夫首相は「ベストを尽くしたが大変残念」との談話を発表。招致委の河野一郎事務総長は「これで終わりではなく、前に進みたい」とコメント。竹田恒和日本オリンピック委員会(JOC)会長も「経験を無駄にせずに将来、花を咲かせたい」と語り、次の東京招致への意欲をにじませた。

 最終プレゼンテーションに登壇した五輪メダリストの室伏広治さんは「チームとして最高のプレゼンができた。全く悔いはない」。悔し涙を流した招致委理事の小谷実可子さんも「チームが一つになって頑張った」と振り返った。

 決戦直前に七十七歳になった石原知事も、今回の招致活動について「勝敗は兵家の常だが、チームプレーでとても良い試合をした清涼感を久しぶりに味わえた」と語った。

 

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