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【メジャーリーグ】ジーターとの“報道格差”

9月15日7時58分配信 産経新聞

 ヤンキースのデレク・ジーター遊撃手が先週のオリオールズ戦で球団最多安打新記録の2722本を放った。これまでの記録保持者が難病、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症で亡くなった70年前のルー・ゲーリッグ。大リーグ神話のヒーローだから、確かにジーターの新記録にはドラマ性があった。

 それにしても今月に入ってからの現地メディアの熱狂はすごかった。ジーターの新人時代からのキャリアを振り返り、ゲーリッグの一代記が重ねられ、その伝記映画、ゲーリー・クーパー主演の『打撃王』の製作裏話まで報じた。

 ジーターの記録挑戦と並行してイチローが9年連続200安打を追っていたのだが、カウントダウンが短信で伝えられるだけの“報道格差”だ。格差の理由はこんなところだろうか。

 まず、イチローが外国人であること。ヤンキースとマリナーズとでは球団の全米的注目度に差があること。イチローの記録に比較される選手のほとんどが19世紀末から20世紀前半のファンになじみの薄い選手であったこと。ジーターが「チームの勝利第一、自分の数字を追わない選手」として相手チームの選手からも尊敬されるロールモデルであること。神話のヒーローに今の模範的ヒーローが挑戦する図式…などだ。イチローの大記録はコマーシャル・バリューで地味だったのである。

 しかし、ジーター報道の中にはこんな指摘もあった。「ジーターは今季7度目の200安打を目指し、球団記録ゲーリッグの8回に来季以降挑戦する。また、これまで1カ月に40安打を13回やっていてジョー・ディマジオの球団記録17回を目指す」とした後「イチローの9年連続200安打、1カ月40安打21回は驚異的」と補足をしていた。

 将来、ジーターの殿堂入りは確実だ。そしてイチローも日本での成績を加えずに、全米野球記者協会の会員の大多数が「殿堂入りにイエスの投票をするだろう」と予想した。

 球団記録と大リーグ記録、重さはだいぶ違うはず、と報道格差に不満だったが、玄人にはそれが分かっていた。殿堂入り確実とあれば、「よし」としようではないか。(球)

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最終更新:9月15日8時47分

産経新聞

 

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