最近「婚活」という言葉をよく耳にする。就職活動のように縁のある相手を見つける活動だそうだ。私の机にも婚活のチラシが置いてあった。「取材に行って来て」ということだと思ったら、支局長が独り身の私を心配して「参加して来たら」と置いてくれた。
そんな折、2歳下の妹から電話があった。「おにい、結婚するわ」。心の準備はできていたが、いざその時がくると「父が娘を思う気持ちはこういうことなのか」と兄ながら感じた。
妹は私と違って親に迷惑を掛けない子だった。私が習字教室に行くと、幼稚園にも上がらない小さな妹は家で1人留守番をしてくれた。毎朝、家の周りを一緒に走った。けんかはたくさんし、兄らしいことは何もできなかったように思う。
いつか私も結婚したいと思うが、焦らずゆっくりステキな人を見つけたい。そして妹には明るい家庭を築いてほしい。【荻野公一】
毎日新聞 2009年10月1日 地方版