緊急 岐阜県高山市乗鞍山頂近く2700mで、クマにより数人がケガ
                                      ⇒クマ射殺

 
                   顧問先生指導熊森見解

原因は人間
 乗鞍の山頂は、雷鳥の生息地。クマは、ブナ・ミズナラ地帯の動物で、どうしてそんな高いところまで上がって行ったのかと思うと、原因は人間だろう。お弁当の残りがあったのかもしれないし、土産物屋さんがおいしそうなにおいのするものを売っていたのかもしれない。現地を見ていないので、100%の断言はできないが。どちらにしても、クマはエサを 求めて出て来た。

この時期のクマ 
 クマはこの時期、冬眠に備えて朝から晩まで食べ続ける。猛烈な飢餓状態になっている。

地球のおきては棲み分け
 人間がこんなにところまで大量の食料を持って上がる戦後の観光というものについて警鐘を鳴らす事件だ。ここは自然の国。この場所に住むべき動物たちが住む所であり、多くの人間がバスを使って上がってよいところではない。人間は原則としてこのようなところに観光で行くべきではない。こんな所まで人間が来ていいのなら、動物たちは、どこにおればいいのか。

クマへの対応がまちがっている

 棒を持って向かうなどとんでもない。クマは人間に殺されるという恐怖のあまり、パニックに陥ってしまう。ひたすら人間側がゆっくりバックして、下がっていくべきだった。こういう事態を想定して、土産物屋はお客の誘導法を勉強しておくべきだ。

クマを殺す必要などまったくない
 なぜクマを殺したのか理解できない。クマは人を襲おうとしてこのようなことをしたわけではない。クマにとって人間はエサではない。人間が用意したエサにクマがおびき寄せられて出て行ったら、人間に襲われそうになってパニックに陥ってしまった。人間側がみんなさがってそっとしておけば、クマは安心して逃げていっただろう。人間がクマをおびきだしておいて、出てきたクマを殺して終わろうとするなら、クマとの共存などできないだろう。

二度とこんなことが起こらないように
 ケガをされた方々にお見舞い申し上げます。関係者は、どうしてこんなことになったのか、原因を追究していただき、二度とこんなことを起こさないようにしてください。
熊森の取り組み

 
15:30ごろ、岐阜県高山市でクマが9人の人を襲った。クマは今から殺される。助けてやってほしいというメールが次々と本部に入った。

1、岐阜県支部長(高山市)に現地にすぐ行ってほしいという電話をしたが、るすだった。
2、岐阜県支部の事務局長に電話する。今、外出中なので、事務所に連絡してもらってほしいと言われる。
 3、岐阜市地区の会員に電話をして、現地に行く人と、県庁と高山市に交渉してクマの駆除を止めるように言ってくれる人に分かれて動いてほしいと伝える。すぐ動きますとの事。
 4、高山市役所に電話をして、猟友会の駆除隊長の電話番号を聞いたが、担当者ではないから分からないといわれた。現時点では、携帯電話が圏外になっており、今から連絡することはできないと言われる。
 担当者にかわってもらう。多くのけが人が出ているので、射殺はやむ終えないといわれる。クマは絶滅危機の動物なので、猟友会に吹き矢やクマ用麻酔銃を完備してもらい、殺さないで放獣してほしいとお願いすると、次回からそうしますとのこと。さらに観光客、観光地の方々に、クマに対して、どういう行動をとるべきか教育していくということも約束してくれました。これから熊森と相談して、このような事故を起こさないように協力すると約束してくれた。
 5、岐阜県猟友会に電話したが留守だった。
 6、高山市警察に電話したが、警察は怪我人を救助するだけで、クマの処置は高山市に任せてあると言われた。午後6時、射殺された。

 (反省)あわてて各部署に電話したが、土曜日の午後で、留守だらけだった。熊森本部も、フィールドの日で、ほとんどが奥山に出払っており、人がほとんど事務所におらず、てんてこ舞いをした。でも、何とか命を助けてやろうと思って必死で電話をし続けた。射殺されたと聞いたとき、泣きそうになった。
 今後、今日のようなことが起きたときのために、各支部の緊急連絡先と緊急に動ける人たちのリストを作っておくべきだ。(スタッフ22歳)