つむじ風

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「自民流」を超えて

 10年度診療報酬改定の年末決着に向けたゴングが間もなく鳴る。医療の公定価格、診療報酬は小泉政権以降4回連続で引き下げられてきた。しかし、政権交代の実現で医療界の関心は、早くも「アップ幅」に移っている。

 医療界と経済界が綱引きした揚げ句、政治家の介入で決着--。自民党政権時代、2年に1度の診療報酬改定はその繰り返しだった。新政権のスタイルはまだ見えない。それでも、「医療の充実」を掲げる民主党からは「10%アップが必要だ。財源は8000億円で済む」といった声も聞こえてくる。

 07年度の国負担分の医療費は8・2兆円。10%増には8000億円強で足りる。が、総医療費は34兆円で国負担分はその25%に過ぎない。12%は地方が払い、また49%を保険料(国民負担29%、企業20%)で、残る14%分は患者の窓口負担でまかなった。

 つまり診療報酬増は、税ばかりか保険料、窓口負担にも跳ね返る。10%(3・4兆円)アップなら、4人世帯で11万2000円。「補てんすればいい」との論もあるが、それも税財源なのは言うまでもない。

 もちろん、疲弊した地域医療の再生は待ったなしだ。とはいえ、住民に一方的にしわ寄せする形では不可能だろう。新政権には自民党流ではなく、負担と給付の最適バランスを探ることに英知を傾けてほしい。【吉田啓志】(つむじ風は今回で終了します)

毎日新聞 2009年9月30日 東京朝刊

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