【サンパウロ庭田学】AP通信によると、中米ホンジュラスのクーデターで実権を握っている暫定政権は28日、同政権に批判的なラジオとテレビの放送局各1局を一時閉鎖措置にした。許可のない集会も禁止にした。国民の権利や言論を制限する強硬姿勢により、クーデターで追放されたセラヤ大統領支持者との間で緊張が高まっている。
大統領復帰を目指すセラヤ氏が21日に首都テグシガルパに戻って以来、暫定政権は危機感を強めている。27日夜、集会禁止や報道機関の一時閉鎖方針を発表。警察や軍は司法機関の許可なく市民を逮捕できるとした。
セラヤ氏は首都のブラジル大使館に滞在中。同氏の大統領復帰を求める支持者数百人は28日、デモ行進のためデグシガルパ市内に集まったが、警官隊に行進を阻止された。セラヤ氏を支持するラジオ局グロボには、早朝に兵士が押し入り、放送機材を持ち去ったという。
暫定政権の強硬措置は、憲法で保障された国民の権利を一部停止するもの。ミチェレッティ暫定大統領は「セラヤが暴力をあおっているからだ」と正当化した。セラヤ氏は「国民に対する野蛮な弾圧だ」と激しく非難した。
毎日新聞 2009年9月29日 19時07分