特設授業で教科書検定制度の問題点を考える大城尚志教諭と生徒たち=28日、名護市宇茂佐の県立北部農林高校
「9・29県民大会決議を実現させる県民集会」(9・29県民大会決議を実現させる会主催)が29日午後6時、那覇市の県庁前広場で開かれる。
文部科学省の教科書検定で、高校歴史教科書の沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の日本軍の強制記述が削除・修正されたのを受けて2007年に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から2年の節目の集会。いまだ実現していない検定意見撤回と軍強制の記述回復などの実現へ決意を新たにする。
◆真実知る権利学ぶ/教科書問題 北農高で授業
「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から2年の節目に合わせ、名護市の県立北部農林高校では28日から憲法の学ぶ権利と教科書検定問題を考える特設授業が始まっている。社会科の大城尚志教諭(47)が企画し、食品科学科1年の1学級を対象に現代社会の授業3回で実施する。文科省の教科書検定制度の問題点を洗い出し「集団自決(強制集団死)」の体験者の証言などを読み、教科書に書くべき事実は何かを討論し、学ぶ当事者として同問題を考える。
大城教諭は「県民大会は歴史的に大きな意味のある日だった。なぜあれほどの人が集まったのかを考えるとともに、生徒には事実が曲げられようとしている問題に気付き、当事者意識をつくってほしい」と語る。
28日の授業では憲法で保障された教育を受ける権利、学問の自由、検閲の禁止などの条文を読み合わせた。文科省が発行前の教科書の内容を審査する教科書検定制度について大城教諭は「憲法が検閲の禁止を説いているのに、国が教科書を審査し、内容を消すこともある。教科書には真実が書かれないといけないのに、この行為をどう思うか」と問い掛けた。
県民大会について大城教諭は「家族や近所の人に参加者がいれば参加理由を聞いてほしい」と結んだ。
今後の特設授業は29日と10月2日に開かれ「集団自決(強制集団死)」を渡嘉敷村で体験した住民の証言記録を読み、県民大会の要求事項とその後の文科省の対応などを学ぶ。
2年前の大会に参加したという宇良萌子さんは1回目の授業を終えて「書き換えられた教科書で学ぶのはいやだ。真実をきちんと書いてほしい」と感想を話していた。
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