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「エコナ」出荷停止 発がん物質に変わる恐れある成分

2009年9月16日20時25分

写真:花王の「エコナ クッキングオイル」花王の「エコナ クッキングオイル」

 花王は16日、「体に脂肪がつきにくい」とうたった特定保健用食品の食用油「エコナ クッキングオイル」について、体内で発がん性物質になる恐れがある成分が含まれていることがわかったとして、エコナ関連商品(12種類59品目)の出荷を停止すると発表した。スーパーなどには販売自粛を要請。返品を求める消費者には代金を返す。

 花王によると、問題の成分はグリシドール脂肪酸エステル。体内で分解されると、発がん性物質のグリシドールになる可能性があるという。同社の分析によると、エコナにはグリシドール脂肪酸エステルが一般的な食用油の10〜182倍含まれていた。

 同成分は意図して製品に配合されたものではなく、油のにおいを除くために加熱する工程で、副産物としてできたという。エコナ事業担当の安川拓次グループ長は「商品の安全性に問題はないが、不安を感じる方がいるため、安心して食べてもらえるようにするまで出荷を止めることにした」と説明。同成分の含有量を大幅に減らし、来年2月にも再び販売するとしている。

 問い合わせ先は、エコナ消費者相談室(電話0120・501・243、9月末まで毎日午前9時〜午後7時、10月以降は平日の午前9時〜午後5時)。

 花王によると、ドイツの研究機関が今年3月、加工した植物油を原料に使った粉ミルクに、MCPDエステルと呼ばれる発がん性物質が含まれていると報告。花王もエコナの原料に加工した植物油を使っていることから、6月に成分を分析した。その結果、MCPDエステルは検出されなかったが、グリシドール脂肪酸エステルが見つかったという。厚生労働省も同じころに調査を求めていた。

 ただ、同省によると、グリシドール脂肪酸エステルが分解されてグリシドールになるかどうか、分解されたとしても体内に吸収されるかどうかは分かっていないという。

 また、厚労省によると、エコナには、ジアシルグリセロールという別の成分も、一般的な食用油に比べて高濃度に含まれている。エコナシリーズのマヨネーズが特保に申請された際、一部の実験で感度を高めた特殊なラットにがんが発生。同省は05年、食品安全委員会にジアシルグリセロールを含む食品の安全性を評価するよう要請し、食品安全委が安全性を調べている。このジアシルグリセロールについて、花王は16日、「安全性に問題がないことを確認している」とコメントした。

     ◇

 〈エコナ クッキングオイル〉 大豆と菜種から取った油脂のジアシルグリセロールを主成分にした食用油。この油脂が他の食用油に比べて脂肪をつきにくくする効果があり、98年5月に厚生省(現厚生労働省)から特定保健用食品に認められ、99年2月に発売した。ドレッシングソースやマヨネーズ、ドッグフードなど計12種類59品目に使われ、花王のエコナシリーズの08年度の売上高は約200億円。

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