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【社会】

元少年の実名表記したルポ刊行へ 山口県光市の母子殺害事件

2009年9月26日 18時23分

 山口県光市母子殺害事件の被告の元少年(28)=死刑判決を受け上告中=を実名表記し、本人と周辺を追ったルポルタージュの単行本が10月に刊行されることが26日分かった。事件時に被告は18歳で、実名掲載は少年法違反の恐れがあるが、著者で大学職員の増田美智子さん(28)は「被告と25回の接見を重ね、人間として描きたいと考えた。匿名では人格の理解が妨げられ、モンスターのようなイメージが膨らむ」と説明、本人の了解も得たとしている。重大な少年事件報道の在り方について議論を呼びそうだ。

 この本は「A(実名)君を殺して何になる」(インシデンツ刊)で、増田さんが今春大学に就職する前、ライターだった時期に本人のほか元同級生や、被害者を侮辱する内容から週刊誌で反響を呼んだ手紙の相手などを取材。巻末の「解説」を元弁護人(2007年10月解任)の今枝仁弁護士が書いている。

 同書は「国民がA(実名)君の実像をきちんととらえられていない今、彼が死刑になることが本当に社会にとって良いことか」と疑問を提起。増田さんは「匿名でも良いのではと思われるかもしれないが、私が会った人間の存在を感じてもらうため、名前は重要な要素」と述べた。

 少年時の事件で家裁の審判を受けたり起訴されたりした人の氏名は少年法61条により報道が禁止され、新聞、テレビなどは光市母子殺害事件の被告を匿名で報じている。

(共同)
 

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