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ネット通販:「家電王国」が音信不通に 楽天が被害補償

 インターネット上のショッピングモール「楽天市場」に出店する家電販売店「家電王国」の利用者から8月下旬以降、「入金したのに商品が届かない」といった苦情が運営する「楽天」(東京都品川区)に相次いでいる。楽天は家電王国のサイトを閉鎖し、自社の補償制度で約120人に被害補償するなど対応に追われているが、家電王国側と連絡が取れずに混乱が続いている。【酒井祥宏、川崎桂吾】

 楽天によると、家電王国を出店したのは「ソフテック東海」(岐阜県各務原市)。楽天側に出店料を支払い、今年2月からテレビやパソコンなどをネット販売していた。ところが8月下旬になって、「店と連絡がつかない」「現金を支払ったのに商品が届かない」などの苦情が出始め、楽天からも連絡が取れなくなった。ソフテック東海の代表電話に電話をかけても、「セール中につき用件を承れません」との音声案内が流れるだけだ。

 被害の拡大を防ぐため、楽天は8月下旬に家電王国のサイトを閉鎖。「現金を振り込まないように」と利用者にメールで通知した。しかし、ネット掲示板「2ちゃんねる」には9月以降、「詐欺だったら泣ける」「警察に被害届を出すしかないのか」など約430件が書き込まれている。

 楽天は、年1回限り50万円まで被害補償する自社制度を使い、約120人の登録会員に補償したという。登録会員以外にも被害は広がっているとみられるが、楽天広報室は「被害の全容が把握できていないため、苦情件数や被害規模は公表できない」と話している。

 約2万9500店が出店する楽天市場を巡っては、07年6月にも家電販売店「秋葉原OG商会」の利用者から今回と同様の苦情が相次ぎ、サイトを閉鎖している。楽天広報室は「逐次基準を見直しているが、市場の提供者として(楽天にも)責任がある。今後も利用者保護に全力を挙げたい」と説明している。

 ◇拡大するネット取引 一方で被害も拡大

 経済産業省によると、消費者向けネット取引は5兆3000億円(07年)の大型市場で、毎年約9000億円規模で拡大している。これに伴い、ネットを使った詐欺・悪質商法の被害も増加傾向にあり、警察庁によると、今年1~6月の相談件数は2万1733件に上り、08年同期と比べて約27%増えた。

 ネット取引に詳しい一般社団法人「ECネットワーク」の原田由里理事は「トラブルになる店舗は、最初から『詐欺目的』か、商品を購入する資金がないのに客が前払いした現金で『自転車操業』をしている業者に大別される」と指摘する。

 原田理事は危ない業者の見極め方として▽ネットで店舗の評判を調べる▽電話をかけて接客態度をチェックする▽財務内容の良い店舗は、前払い以外にカード決済や代金引き換えなど複数の支払い方法を用意している--を挙げ、「99%の店舗はしっかり経営しているが、トラブルに巻き込まれないよう、賢くネットを利用してほしい」と注意喚起する。

毎日新聞 2009年9月26日 15時00分(最終更新 9月26日 16時51分)

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