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根本正雄(TOSS体育授業研究会代表)
写真は子どものプライバシー保護のため、一部加工してあります。


頭跳ね跳び指導案


1、単元:頭跳ね跳び(4年)
2、目標
 ○助走して両足で踏み切り、両手を着き、頭跳ね跳びができる。
 ○器具の扱いを工夫して、安全に運動ができる。

 3、単元について
 跳び箱運動は、切り返し系と回転系とに分けられる。切り返し系には、開脚跳び、抱え込み跳びとがあり、頭跳ね跳びは回転系である。
 頭跳ね跳びは第2空間の工夫ができ、発展性のある運動である。しかしいきなり頭跳ね跳びに入るのではなく、段階を踏んで指導していく必要がある。
 頭跳ね跳びの前に首跳ね起き跳びの指導から入る。首跳ね起き跳びは大きな台上前転から入っていく。台上前転は、3年生の基本の運動の中に移行された。3年生の段階で、十分に台上前転を指導しておく。
 首跳ね起き跳びのエネルギーは、一気に跳ねることによって得られる。そのためには、次の順序で練習していく。
  @背支持倒立
  A足を床につける
  Bイチー、ニー、サンで補助をして立つ
 このようにして跳ねのタイミングをつかませる。跳ねのタイミングができるようになったら、体育館のステージの上にマットを乗せ、床にセーフティーマットを置いて練習する。
 ステージの上で跳ねができたら、跳び箱の上にマットを乗せて首跳ね起き跳びを行う。
 4段より5段の方が落差があるので回転しやすい。ここでは跳ねのタイミングが難しい。「いつ跳ねたらよいか」という問題がある。
 跳ねが早過ぎてもいけないし、遅過ぎても上手くできない。上手な子どもの動きを見せて発見させていく。
 首跳ね起き跳びができれば、頭跳ね跳びは簡単である。首で跳ねていたのを頭で跳ねればよい。
 以上の段階を踏んでいけば、頭跳ね跳びはできるようになる。気を付けないといけないのは安全面である。首を痛めたり、跳び箱に背中をぶつけたりすると怪我につながる。
 マットを重ねたりセーフティーマットを使用したりして、安全には十分留意して指導していく。

4.指導の構想

(1) どのように指導するか

このような子供に
 ●台上前転はできるが、首跳ね起き跳びはできない。
 ●跳ねのタイミングがつかめないで、跳び箱に背中を打つ。
   ↓
こんな指導で授業をすると
 場作り
 発問・指示
 テクニカルポイント
   ↓
これを検討し
 1.足の跳ねるタイミング
 2.手の突き放し
   ↓
これに気づき
 1.足の跳ねるタイミングは、重心が真ん中より少し前に行った時に跳ねる。
 2.手の突き放しは強くし、最後まで押し続ける。
   ↓
これができる
 首跳ね起き跳びから頭跳ね跳びができるようになる。

 (2) どんな指導法で
 @ テクニカルポイント

つまづき 1.膝が曲がる。
2.跳ねが遅い。
3.突き放しができない。
テクニカルポイント ○つま先を残すようにして回る。
○膝を見て、足が頭上に来た時に跳ねる。
○最後まで両手で押し続ける。
練習方法 ○セーフティーマットを床に置き、ステージの上から下りながら練習する。

 A 発問・指示

発問1  跳び箱のどこに着手したらよいですか。
指示1  イとウでは、どちらが跳びやすいですか。自分で跳んで確かめなさい。
発問2  膝は伸ばした方がよいですか、曲げた方がよいですか。
指示2  どちらがよいか、跳んで確かめなさい。
発問3  首が跳び箱に着いた時、どこを見たらよいですか。
  ア 足首  イ 膝  ウ 腰  エ 胸
指示3  どこを見たらよいか、Mさんの動きを見て発見しなさい。
発問4  どこで、足を跳ねたらよいですか。
指示4  どこで足を跳ねたらよいか、S君の動きを見て確かめなさい。
発問5  S田君に跳んで貰います。頭のてっぺんを着くようにします。この跳び方を頭跳ね跳びと言います。
 頭跳ね跳びをする時に、頭のどこを着いたらよいですか。
  ア おでこ  イ てっぺん  ウ 後ろ

 B 場作り

 台上前転コーナーでは、膝が伸びるように跳び箱の前にゴムひもを張っておく。高さは、能力に応じて調整できるようにしておく。
 舞台下りコーナーは、ステージの所からセーフティーマットに跳び下りさせる。セーフティーマットに下りるので、恐怖心が無くなる。
 ここで、「跳ね」や腕の突き放しのタイミングをつかませる。どこで跳ねたらよいのか何回か練習させ、跳ねのコツを体得できるようにする。
 跳び箱2台では同じ高さのもの、低い跳び箱と高い跳び箱を組み合わせたものにする。AからBに行くようにする。
 首跳ねコーナーでは、3段、4段、5段の跳び箱を置いておく。自分の能力に合わせて選択させる。
 1つの段階で上手くできない場合には、元の所に戻って練習させる。いつも、できるというステップで行うことによって上達できるようにする。




【 指導計画 】(6時間扱い)
 第1次 膝の伸びた台上前転を練習する…………………2時間
 第2次 首跳ね跳びの練習をする…………………………2時間
 第3次 頭跳ね跳びの練習をする…………………………2時間


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