現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. サイエンス
  4. 記事

季節性インフル、1歳未満もワクチン有効 量増やせば

2009年9月26日5時20分

 従来の季節性インフルエンザワクチンで、効果が不明だった1歳未満の乳児に対して、接種量を増やせば確実に効果が期待できることが厚生労働省研究班の臨床研究でわかった。26日に札幌市で始まる日本ワクチン学会で、研究班の神谷斉(ひとし)・三重県予防接種センター長らが発表する。新型インフルの接種方法にも将来、影響する可能性がある。

 現行では、生後6カ月以上から季節性インフルのワクチンを接種できる。薬事承認で1歳未満は接種量が0.1ミリリットルで2回と決まっているが、過去の研究では効果が確認できず、小児科医の間では「接種量が少なすぎる」という批判が上がっていた。

 神谷さんらは07〜08年に三重県内の11医療機関で、国産とフランス産のワクチンを、生後6カ月〜2歳の300人に0.25ミリリットルずつ2回接種した。欧米で実施されている接種量と同じだ。

 その結果、国産でも外国産でも、1歳未満の乳児の7〜8割で季節性のインフルエンザAソ連型に対する免疫力の指標となる血中の抗体が接種前の40倍以上になっていた。

 99〜05年に従来の量をうった乳児を調べた調査では、抗体が40倍以上に上がった乳児は4割以下。今回、接種部位が腫れるなど副反応の比率はこのときとほぼ同じだった。

 乳児は新型インフルで重症化するリスクが高い。しかし、新型インフルのワクチンは接種対象外だ。製造法も接種法も季節性インフルを踏襲しており、1歳未満の幼児は効果が不明ということも理由だ。神谷さんは「現在の季節性ワクチン接種量は、30年以上前に、きちんとした科学的根拠なしに決まった。早急に接種量を増やすべきだ」と話している。(大岩ゆり)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内