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温泉熱をエコ燃料に 青森県、浅虫でモデル施策展開へ

温泉熱利用の検討が進められる浅虫温泉街

 原子力に風力、太陽光発電と、「エネルギー先進県」を目指して次々と施策を展開する青森県が、今度は温泉熱を使った二酸化炭素(CO2)削減に乗り出した。高温の源泉から取り出す熱を温泉街の暖房や給湯に利用し、灯油の使用量を減らそうという試みだ。青森は東北一の温泉地数を誇る。実現には湯温や泉質など調査事項も多いため、まずは浅虫温泉(青森市)を舞台にモデル確立を目指す。

 温泉熱利用を進めるための初会合がこのほど、浅虫温泉の道の駅で開かれた。県の担当者や有識者、浅虫温泉旅館組合のメンバーら17人が参加。県の関光弘エネルギー開発振興課長は「全国有数の温泉地数の県内で、温泉熱利用のモデルをつくりたい」と力を込めた。

 浅虫温泉では現在、浅虫温泉事業協同組合が平均72度の源泉に伏流水を混ぜ、約56度に下げて各旅館に配湯している。各旅館はさらに、水道水で42〜43度にしてから客に温泉を提供。客室のシャワーや暖房用には別途、灯油を使ってボイラーをたいている。
 県は、配湯後の温泉と水道水を「熱交換器」に通す案などを検討する。別々に熱交換器の中の隣り合う流路に通せば、湯温は下がり、水道水も温まってシャワーなどに回せる。湯温を下げる水道代も、暖房・給湯用の灯油代も浮く仕組みだ。

 最も単純な熱交換器でも、本体と工費で計約140万円が必要だが、試算では旅館1軒につき水道代は年約382万円、ボイラー用の灯油代は年約115万円削減できるという。

 県などによると、県内の温泉地数は145で、源泉数も湧出(ゆうしゅつ)量も東北で最も多い。湯温や泉質によって熱交換器の消耗度が変わるため、実用化にはさまざまな調査が必要で、県は浅虫温泉で利用モデルを構築した上で、県全域に展開する方針だ。

 積雪寒冷地の青森県は、特に冬場の暖房のほとんどを化石燃料に依存する。地球温暖化対策で各県がCO2の排出抑制に取り組む中、青森県は原子力や従来の新エネルギーに加え、「温泉の宝庫」という資源も生かせると判断した。

 会合の委員長を務める弘前大の南條宏肇学長特別補佐(新エネルギー学)は「温泉熱は比較的利用しやすい新エネルギー。全国に先駆けて利用モデルをつくり、青森が温泉熱でも先進県になるようにしたい」と話している。


2009年09月25日金曜日

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