憂楽帳

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憂楽帳:税金の使い道

 「相談したいことがあります」

 バイクレース中の事故で脊髄(せきずい)を傷つけ、車椅子で生活する奈良市の会社員、伏見良治さん(50)からメールが届いた。再生医療のシンポジウム会場で出会い、記事にした人だ。損傷した脊髄は現在の医療では治らないが、「また歩きたい」と願い、山中伸弥・京都大教授のiPS細胞など先端医学の進展に望みを託す。

 相談は、寄付金についてだった。海外には、年間100億円以上の寄付を受ける患者団体もあり、研究者に研究資金を提供しているという。一方、日本では寄付の文化がまだ根付かず、税の優遇措置も不十分。「メード・イン・ジャパンの再生医療を確立するため、患者団体や研究者は資金が必要。何か知恵を拝借できないでしょうか」と書かれていた。

 そこで考えた。実質的に税の一部を出身自治体などに寄付できる「ふるさと納税制度」では、「環境」など使い道の指定が可能な自治体もある。この仕組みを、より多くの事業や団体に広げられないか。3人の子を持つ私なら、医師不足に悩む小児救急の現場を支援する。いい制度と思うが、どうだろう。【根本毅】

毎日新聞 2009年9月25日 大阪夕刊

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