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PJ: 藤倉 善郎

「チベット人は存在しない」主催者が暴言=東京・上野「聖地チベット」展開幕
2009年09月21日 07:53 JST


会場前で静かにチベット国旗を掲げるチベット支援者たち(撮影:藤倉善郎、9月18日) 

【PJニュース 2009年09月21日】9月18日、東京・上野の森美術館で「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」(主催:財団法人日本美術協会・上野の森美術館、朝日新聞社、TBS、大広、中華文物交流協会、中国チベット文化保護発展協会)の関係者・プレス向け内覧会と開会式が開かれた。19日から来年1月11日まで無休で一般公開される。同展示会には「IAATE(「聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展に抗議する国際連盟)日本有志の会」などチベット人・支援者団体が抗議の声を挙げている。

「聖地チベット」展は、歴代ダライ・ラマ法王の住居だったポタラ宮やノルブリンカ離宮のほかチベット各地の寺院の仏像、仏具、経典など173点を展示するもの。これまで九州国立博物館、北海道立近代美術館の順で開催され、のべ20万人近くが来場した。しかし今年7月9日、IAATEが同展について、チベットの現代史と現状を全く反映しておらず「中国政府の不当な政治的宣伝」であるとして、上野の森美術館や同展実行委員会に展示の中止もしくは内容の修正を申入れた(「中国政府の不当な政治的宣伝だ」=「聖地チベット」展にチベット関連団体が抗議書(上)(中)(下)参照)。これに対して同展実行委員会は7月31日、<本展覧会でご覧いただける品々は、チベット文化に対する日本人の興味と理解を醸成することができるものと考えており、この趣旨をお汲み取りいただき、ご理解をいただきますようお願い申し上げます。>と回答し、IAATEの申入れを事実上、無視。予定通り開催されることになった。

9月18日の内覧会には、中国駐日本国特命全権大使・崔天凱氏も参列し、開会式で挨拶に立った。

「中国は統一した多民族国家であり、悠久な歴史を持っています。中華文化は奥深く、豊富多彩なものであります。チベット文化は中国文化の重要な一部分であり、魅力ある地域的な特色をもっています。とりわけ、チベットの平和的解放50周年来、昔の100万以上の農奴が主人公になり、チベットは未曽有の経済社会の進歩をとげ、民族の優れた伝統的な文化も継承・保護しながら絶えず発展してきました」(崔天凱氏)

警官がものものしい警備をしく中、展示会場前では、IAATE関係者を含めチベット人や支援者らが、チベット国旗や「聖地チベットはチベット人のもの!」と書かれた横断幕を掲げ、静かに開会式を見守った。崔氏の挨拶の最中に、一度だけ「フリーチベット!」の声が上がる場面もあったが、特に大きな混乱はなかった。

ニューヨーク在住の映画監督・楽真琴(ささ・まこと)氏によると、会場前で主催者である大広の担当者に在日チベット人を伴ってインタビューしたところ、担当者は「チベット人というものは存在しない。チベット族がいる」と発言。中国国民としてのチベット「族」以外は存在していないとの認識を示した(証拠映像=YouTube)。

「ここまでひどいとは思わなかった。社会的な企業として責任ある人の発言とは思えません。『チベット人は存在しない』というのは、中国当局が繰り返し唱えてきたもの。ここは日本ですよね? ニューヨークから日本に帰ってきたと思っていたのに、私は間違って中国に来てしまったんでしょうか」(楽氏)

会期中の毎週土日には、上野の森美術館前の天海僧正毛髪塔前で、「パルデンの会」が中国政府による弾圧や圧政によって亡くなったチベット人を弔う読経を実施。真言宗・天台宗などの僧侶らによる「世界平和巡礼 in 上野の森 実行委員会」も、「聖地チベット展」にあわせて毎週土日に上野恩賜公園内で世界平和祈念の巡礼を行う。【了】

■参考サイト
聖地チベット ポタラ宮と天空の至宝」展に抗議する国際連盟(IAATE)

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