環境省の原徳寿環境保健部長が朝日新聞のインタビューで、水俣病の診断について「受診者がうそをついても見抜けない」と発言した問題を受け、水俣病を担当する同省特殊疾病対策室の椎葉茂樹室長らが8日、新潟市を訪れ、新潟水俣病の患者団体に「怒りや不安を与えた」として謝罪した。患者団体側は原部長の解任を求める申し入れ書を手渡した。
椎葉室長は、水俣病未認定患者を救済する特別措置法成立直後の発言だったことに触れ「大事な時期に大変申し訳ない」と頭を下げて謝罪。その上で「新潟の患者には触れておらず、熊本の裁判の中身を解説したもの」と釈明、「裁判上の主張」との理由で発言の撤回はしないとした。
新潟水俣病阿賀野患者会の山崎昭正会長は「私も主治医の診断を受けるまで水俣病との認識はなかった。(そんな状態で)なぜうそがつけるのか」と反発。新潟水俣病共闘会議の高野秀男事務局長も「こんなことをしては(特措法の話し合いも)前に進めない」と主張した。
問題発言を巡っては、3団体が7月に謝罪を求める文書を環境省に送付していた。阿賀野患者会は特措法受け入れに反対を表明していることから、同省は説明の場を設ける予定だったが、この問題発言で先延ばしされたままになっている。【畠山哲郎】
毎日新聞 2009年9月9日 地方版