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我国で初めての最新型コンピュータ・ジャンボを導入

我国で初めての最新型コンピュータ・ジャンボを導入

2001年05月02日

   西松建設は最新型のコンピュータ制御・全自動式ジャンボを我国で初めて山岳トンネル工事に導入する.導入されるのは,アトラス・コプコ社製の「ブーマーL3C-2B」と呼ばれる最新型コンピュータ・ジャンボで,全自動削孔が可能であることが最大の特徴である.
   全自動削孔機によるシステムでは,削孔作業の効率化,削孔精度の向上による火薬量の減少,余掘りの減少などにより,工期短縮および作業人員の省力化が図れることから,トータルコストの削減が期待できる.西松建設では,すでに香港の道路トンネル工事で同型機2台を使用した実績があり,大幅な工費削減と工期短縮を達成している.
   また,本システムではレーザー・マーキングが不要であり,削孔状況をPCカードに記録して管理することが可能などの高品質な成果が期待できる.さらに,このコンピュータ・ジャンボには人間工学に基づいた設計による昇降式の大型キャビンが搭載されている.このキャビンは,視界良好でエアコン搭載となっており,騒音も80dB(A)以下とオペレーターの快適な環境を実現している.

本機の特徴をまとめると次のようである.
(1) 削岩機の作動をコンピュータ制御するため,精度の高い削孔作業ができる.
(2) 最適な発破パターンを選定することで削孔本数を最少とすることができ,火薬量を減らすことができる.
(3) 削孔時はバスケット(2台)を収納しておくことができる.
(4) 上半先進工法,ベンチカット工法,全断面工法の全ての掘削工法に適応できる.
(5) 4輪駆動としているため,悪路でも機動性を確保できる.
(6) キャビン内で全ての操作が可能であり,快適な環境で作業できる.
(7) オペレーション画面は大型で見やすく,ズームアップでブームの現在位置を表示するため,操作が簡単である.
(8) フルオートマチック,セミオートマチック,マニュアルの3モードをボタンひとつで簡単に変更できる.

   このコンピューター・ジャンボの導入先は西松・森本特定建設工事共同企業体が受注した「吾妻トンネル新設工事」である.国土交通省関東地方整備局八ツ場(やんば)ダム工事事務所の発注になる同工事は,八ツ場ダム建設事業の一環として新設される県道林吾妻線のうち,吾妻川右岸側(南側)において三島からJR川原湯駅南側打越代替地へ通ずる延長1769mのトンネル工事である.地質は硬質の安山岩質凝灰角礫岩が主体であり,Bパターンが全体の80%以上を占めている.

   このコンピュータ・ジャンボはアトラス・コプコ社にて製作を完了し,日本に向けて現在輸送中であり,5月末には到着する予定である.本機が実際に切羽に向かって削孔を開始するのは8月頃になるものとみられ,その成果が業界で注目されている.