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高崎市榛名の男性がナシの品種開発に成功 群馬

9月23日7時57分配信 産経新聞

 群馬県内有数のナシの産地である高崎市榛名地域で、ナシ栽培を魅力ある地場産業にすることを目指し、地元の男性が20年以上をかけて品種開発に取り組み、糖度が高く、病気にも強い果実を生み出すことに成功した。男性は品種登録を出願中で、順調にいけば1〜2年後の登録が見込まれている。名前は、地域ブランドにとの思いを込め、「はるな」とした。(萩原淳子)

 開発したのは小板橋清さん(77)=同市下里見町。小板橋さんが開発に取り組み始めたのは50歳を迎えた昭和57年のこと。人生を振り返り、「ナシ作りで生活できたのは、この地に栽培技術を広めた先覚者がいたおかげ。その恩返しになれば」との思いがきっかけだったという。

 ナシは近年、甘味が強い「幸水」「豊水」などが生み出されているが、挑戦したのは「新高」と「豊水」との交配種。小板橋さんによると、「新高」は大玉で日持ちが良く、病気にも強い。「豊水」は甘く、みずみずしいが果形が崩れやすく、栽培が難しいことが難点だ。両種の長所だけを残すことができる品種の開発を目指したという。

 果樹栽培は苗をつくり出しても成長させて果実が収穫できるまでに、最低でも数年かかる。約8年で最初の果実を手にしたが、「食べてみると酸味が強く、好まれる味とはとても言い難かった」。

 もう1度交配を重ね、平成17年9月、平均450グラムと大型で、糖度も14〜15度と高いうえ、果肉崩壊などもない、思いどおりの果実ができた。

 誕生させたナシは、県西部農業事務所の支援を受けて必要データを取り、昨年3月に「はるな」の名で品種登録を出願。今月15日には農水省審査官による現地審査が行われた。

 同市榛名支所によると、同地域のナシは明治元年、里東地区に住む当時18歳の農業青年、富沢小平次が、農村振興を目的に、現在の前橋市大島地区から苗木を導入したのが始まりといわれる。「里見のナシ」が徐々に広がって「榛名のナシ」となり、現在は市内全体の収穫量が約3980トン(平成18年度)と全国市町村で15位となり、「その大半は榛名地域」(高崎市農林課)という一大産地に発展した。

 ブランドとして根付くことになれば、地域の歴史に新たな1ページを書き加えることとなるが、県西部農業事務所は今後について「栽培農家がその特性を理解し、『この品種はいける』といった意識を地域で共有した後、試植検討の協議が始まる」と話している。

最終更新:9月23日7時57分

産経新聞

 

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2009年9月23日 5時00分発表

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