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【直葬 〜消える弔い〜】(上)消えてしまいたい (2/2ページ)
このニュースのトピックス:ライフスタイル
安さと簡素さを前面に出した宣伝も目立つ。
生花を扱う「日比谷花壇」(東京都港区)は今年6月に直葬を意識した商品をつくった。数人の身内が集まる火葬場の一室で、同社スタッフと遺族が30分ほどかけて生花で故人を彩る。「おくりばなの儀」と名付けられた。読経も焼香もない。
同社広報室によると、毎月数十件の問い合わせがある。3割は「自分が死んだときには」という生前予約の問い合わせだ。
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雑誌「SOGI」の編集長で葬送ジャーナリストの碑文谷創(はじめ)さんは直葬増加の主な理由に、価値観の多様化、人口構造の変化などを指摘する。
とりわけ人口の高齢化は大きな影響を与えた。80歳以上で死ぬ人は5割に迫るところまできた。現役時代と比べれば、本人と社会との関係は薄い。子供(喪主)が定年を迎えていれば、葬式への参列者は極端に減る。本人も遺族も、「ならば、僧侶も呼ばずに」という選択につながる。
昨年の65歳以上の1人暮らしは414万世帯にもなった。子供がいない人や、別居などで親子関係が薄い人が増えていることも、弔いの光景を小規模で簡素なものにしていく。
碑文谷さんは、「本人や遺族が、最善の弔いとして直葬を選ぶことはありえるし、今後も増えるだろう」と肯定しつつも、「人間関係や親子関係の希薄化が、直葬を増やしている部分もある。それは死者や命の尊厳になるのだろうか」とも指摘している。
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「直葬」と呼ばれる簡素な葬送スタイルが増えている。なぜ、葬式など弔いの儀式が姿を消しつつあるのか−。秋の彼岸。現代の葬送事情を考える。
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