2009年9月22日20時19分
セラヤ大統領=ロイター
【ロサンゼルス=堀内隆】中米ホンジュラスからの報道によると、6月28日のクーデターで国外追放されたセラヤ大統領が、21日に帰国を強行し、首都テグシガルパのブラジル大使館に保護された。支持者のデモを抑えるためミチェレッティ暫定政権が外出禁止令を出す一方、セラヤ氏を支持する労組が全国でストに入る方針を示すなど、緊張が高まっている。
セラヤ氏は暫定政権との直接対話を求めており、クーデターを批判してきた米国などからも、暫定政権に対話を迫る圧力が強まっている。
セラヤ氏は11月の大統領選を前に、憲法にある再選禁止規定の撤廃の是非を問う国民投票を計画し、軍事クーデターで国外追放された。
軍事政権の歴史からようやく脱した中南米で再発したクーデターは、国際社会の非難を浴び、暫定政権は友好国だった米国から援助を打ち切られるなど国際社会で孤立。それでも、セラヤ氏の帰国を認めない方針を貫いてきた。
セラヤ氏が米CNNテレビに語ったところでは、セラヤ氏は20日夜に隣国グアテマラに入り、陸路で15時間かけてテグシガルパに到着。AP通信に「対話を探っていく。今は和解の時だ」と話し、暫定政権に直接対話を求める考えを示した。
これに対し、暫定政権はブラジル大使館前に集まったセラヤ氏の支持者のデモを抑えるため、首都に22日夕方までの外出禁止令を出した。しかし、AP通信によると外出禁止の時間帯になっても支持者は大使館前に残り、喝采を送っているという。
また、セラヤ氏を支持してきた教員組合が22日から全国で無期限ストに入る方針を示すなど、混乱は首都から全国に広がる気配だ。首都の国際空港は、離着陸が無期限禁止になっている。