フランス・カレー(CNN) フランス政府は22日、アフガニスタンやイラクといった紛争国からの不法滞在者多数が集まっていた北部カレー郊外の野営地を解体し、滞在者を別の場所に移す作業に着手した。
野営地にはダンボールやビニールシート、廃材で作ったテントが並び、アフガニスタン、イラン、イラク、ソマリアなどの国から来た約300人が住んでいた。一時は滞在者が1000人を超えたこともあったという。
地元当局者によると、警察は不法滞在者276人の身柄を拘束。このうち125人は未成年だったという。現場を人道支援団体関係者が取り囲み、警察と小競り合いになる場面もあった。
フランス移民省は野営地の解体について、不法密入国を摘発し、英国へ不法移民を送り出す拠点を解体することにあると説明。あっせん業者の手助けでフランス北部から英国に渡ろうとする密入国者が多い実態を受け、両国は7月、野営地の解体などを盛り込んだ不法移民摘発の合意書を交わしている。
野営地滞在者の大半はあっせん業者に多額を払ってここにたどり着き、フランスでの難民認定や対岸の英国への亡命を希望していた。数カ月前には国連難民高等弁務官事務所の担当官が訪れ、亡命申請手続きについて説明している。
アフガニスタンの旧支配勢力タリバーンに命を狙われ、子供と両親を残したまま逃げてきたという男性(24)は、ごみに囲まれたテントの中で8人と同居したこともあったといい、「自分の国ではこんな状態で暮らしたことはなかったが、今はほかに選択肢がない」と肩を落とした。
フランス政府は野営地から連行した不法滞在者をどこに収容するのかは明らかにしなかった。英内務相はフランスによる摘発を歓迎する談話を発表、「純粋な難民は保護するが、保護を必要としない者は出身国へ帰すことになるだろう」と述べている。