--京都議定書に定めのない13年以降の温暖化対策の国際枠組み交渉での戦略は。
◆途上国支援を中心にした「鳩山イニシアチブ」を打ち出し、議論をリードしたい。
--次期枠組みで中国、インドなどの参加を促すには何が必要か。
◆先進国が(温室効果ガス排出削減の)責任を果たすことと、途上国の排出抑制・削減に対応する資金的な支援を行うことだ。(資金のメカニズム提案については)鳩山イニシアチブに期待してほしい。具体的な金額は首相演説で出る話ではなく、その後(の交渉)は我々の仕事になる。
--「20年までに90年比25%減」の温室効果ガス削減目標を国内でどう実現するか。
◆民主党のマニフェスト(政権公約)で、国内排出量取引制度の創設や温暖化対策税などのメニューを示した。(これらを踏まえ)事務方に25%減達成の政策を検討するよう指示した。予算編成や税制改正の内容は2カ月以内にまとめる。国内排出量取引制度の創設などを盛り込んだ温暖化対策基本法案は(既存政策と調整した上で)来年の通常国会への提出を目指す。
--「25%減」の内訳は。
◆決まっていない。海外からの排出量購入などは、世界全体で(排出量が)減少するという意味ではいいが、できる限り国内での削減を多くすることが大前提だ。
--温暖化対策税(環境税)を、来年4月の暫定税率廃止と同時に導入の可能性は。
◆ゼロではない。だが民主党内でも「廃止と同時に」という意見がある一方、「廃止が先で、環境税は国民の理解を得て導入を図るべきだ」という二つの意見がある。秋から冬にかけた協議で詰める。
--なぜ排出量取引制度が必要か。
◆二酸化炭素削減に向けて、企業の動機付けになるのが排出量取引で、国民個人の場合は税と考えている。(生産規制につながるという)産業界の意見も分かるが、規制をきっかけに、技術革新、環境を改善する経済活動が進むのではないか。規制は成長の阻害要因ではなくて、促進要因にもなりうる。石油ショックのとき、各企業が省エネ技術を磨き、それが日本経済の強さのきっかけになったという歴史的教訓もある。
--温暖化問題に関する閣僚委員会の位置づけは。
◆実質的な政府の(温暖化政策の)意思決定の場だ。あらゆる提案を持ち込み、環境相が(閣僚委の)エンジンとなって頑張っていきたい。
--7月に水俣病未認定患者の救済法が成立した。具体的な救済方針の策定は。
◆被害者の気持ちを受け止め、野党の皆さんとも協議してできるだけ早く進めたい。
--生物多様性条約第10回締約国会議が来年名古屋市で開催されるが認知度は低い。
◆認知度を上げるアイデアを出すよう省内に指示した。有識者にもお願いして、国民運動を起こしたい。【聞き手・大場あい】=つづく
==============
■人物略歴
1954年生まれ。東京大法学部卒。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て、93年の衆院選で初当選し、連続6回当選。日本新党などを経て、96年に旧民主党に入る。ネクストキャビネット(次の内閣)の情報通信相、経済産業相、衆院環境委員長を務めた。
毎日新聞 2009年9月21日 東京朝刊