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【群馬】

八ッ場ダム中止明言 『人生打ち消された』 長野原町民ら憤りと失望感

2009年9月18日

ダムの湖底に沈む予定の川原湯温泉街。閑静な雰囲気が漂う=長野原町で

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 鳩山由紀夫首相や前原誠司・国土交通相が八ッ場(やんば)ダムの建設事業中止を明言したことで、地元の長野原町では十七日、住民の間に激しい憤りと失望感が広まった。ダムの早期完成を求める「八ッ場ダム推進吾妻住民協議会」(萩原昭朗会長)は十八日夜に川原湯総合相談センターに役員が集まり、今後の対応について話し合う予定だ。 (山岸隆)

 長野原町議会は十七日、事業の継続を求めて緊急に議員提案された「国の政策として推し進めてきたことを今さら中止など到底受け入れられない」とする意見書を可決。近く鳩山首相らに提出する。

 高山欣也町長は「八ッ場ダムの建設は地元と国との約束だ。地元に何の連絡もなしに中止とは納得できない」とがっかりした様子。

 水没予定地の林地区出身の星川由紀子町議も「これまでの人生を打ち消された感じ。多くの住民の移転で町並みが壊され、お墓が掘り返された町の姿を見てほしい。住民の声を十分に聞きもせず、憤りを感じる。昨夜は悔しくて一睡もできなかった」と怒りをあらわにした。

 川原湯温泉旅館組合長で「高田屋旅館」七代目の豊田明美さん(44)は「非常に残念。(鳩山政権は)住民の生活再建をすると言っているが、どういうプランを持っているのか具体的に示してほしい」と困惑の様子だった。

◆建設反対派は発言を高評価

 八ッ場ダムの建設に異論を唱えてきた市民団体の関係者らは十七日、鳩山首相や前原国交相の「中止」発言を高く評価した。

 ダム建設の県負担金差し止めを求める訴訟を起こしている「八ッ場ダムをストップさせる群馬の会」の浦野稔代表は「民主党のマニフェストの通りに中止を明言してくれたことはとても喜ばしい」と歓迎。国に対して「ダム本体の建設中止や生活再建事業の継続とは別に、国道やJRの付け替えなどの関連事業についても、必要なものと無駄なものを選別する必要がある」と注文をつけた。

 「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「中止という目標を最初に設定したことは的確な判断。鳩山政権には、国交省がこれまで公表してこなかった、ダム建設に不利となる情報をすべて公開し、中止の妥当性を証明する作業が必要になる」と提案した。

 

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