健康注意報:妊婦のやせ志向に“低体重児”出産のリスク (05/03/31)
生まれた時の体重が2500グラム未満の赤ちゃんを「低出生体重児(以下、低体重児)」と呼びますが、新生児に占める低体重児の割合の増加が問題になっています。
厚生労働省の統計によると、1993年に8万1288人だった低体重児は、2003年には10万2320人となり、10年間で2万1032人の増加(図参照)。全出生数に占める割合も、1993年の6.8%から2003年には9.1%と、明らかに増えています。
低体重児を出産する確率は、妊娠前の体形がやせ形で、妊娠してからの体重の増加が7キログラム未満の場合に高いとされています。最近は、若い女性を中心に「やせ志向」が高まっており、「妊娠中も太りたくない」と考える妊婦も増えているようです。こうした傾向や妊娠中の喫煙などが、低体重児増加の背景にあると見られています。
特に出産時の赤ちゃんの体重は、その後の発育や健康に大きな影響を与えます。低体重児は、栄養の摂取が上手に行えず、虚弱だったり、知能や運動能力の発達に問題が生じる場合もあります。また、成人になってから、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を発症しやすいとの研究報告もあります。
厚生労働省はこうした事態を重くみて、妊婦がダイエットなどでやせすぎないように、妊婦向けの食生活指針を2005年10月をめどに作成することを決定しました。
なお低体重児の中でも、この10年間で特に増加した割合が多かったのが、出生時の体重が1000グラム未満の「超低出生体重児(以下、超低体重児)」です。超低体重児は93年には2434人だったのが2003年には3335人と約1.4倍に増えました。
神戸大学の中村肇氏らが、超低出生体重児の6歳時における予後をみた調査によると、精神発達遅滞や脳性まひなど、何らかの神経学的な異常が認められた児は2割近くを占めています。このように、低体重児の中でも身体的・神経学的、あるいは社会的な問題を抱えやすい超低体重児への対応も急務となっています。
〔参考文献〕
中村肇:2000年11月1日、第45回日本未熟児新生児学会「超低出生体重児の予後からみた21世紀の課題」
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