ryotaroの海外文学散歩

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2008-07-27

『罪と罰』ドストエフスキー

22:05

「(普通の殺人よりも)どうして人々を爆弾で吹っ飛ばしたり、

正確な包囲で攻め滅ばしたりするほうが、より尊敬すべき形なんだろう?」

「権力を継承によらず自分の力で奪い取った多くの人類の恩人たちは、

その第一歩において処刑されていなければならぬはずだ」

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2008-07-20

『ソネット集』シェイクスピア

22:16

ソネットとは14行詩のこと。なんで14行なのか知りませんが、

シェイクスピアソネットの名手とされます。

「たぐいなき美しいものの子孫こそ殖えてほしいのです」

などと愛の詩ばかりですが、これは実は美少年を歌った詩なのです。

同性愛じゃ子孫殖えないやん。

「浪費家の美男子さん、なぜ、きみは

 わが身ひとりのために美の遺産をついやすのです」

普通に異性と結婚すれば無駄に費やされませんがw

「自然が君を作っているうちに女にするのが惜しくなり、

一つのものを加えて、私を敗北させた」

さて、一つのものとは何でしょうw

ただ、「おまえは残酷なおんなだが賢さも持ち合わせてくれ」

と女性を歌った詩も幾つかあります。

「この通り黒いお前だが、その無慈悲さときたら」

と描かれており、色が黒い女性のようで「黒い女」と呼ばれ、

前述の美少年と共に誰のことか謎の人物です。

まあ男性でも女性でも美しい人を美しく描けるシェイクスピア

やはり天才?なのでしょうかw

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2008-07-18

『やけたトタン屋根の猫』テネシー・ウィリアムズ

22:02

以前『欲望という名の電車』『ガラスの動物園』を

書評した時、この本だけどこかに行ってまして。

このたび、めでたく見つかりましたw

舞台はアメリカ南部。「舞台デザイナーのためのノート」として

南部の家の細かな設定、更に戯曲本文にも南部の発音をするように

指示があります。

今日は大農園主のおじいちゃんの誕生日、本人は医者から健康体だと言われ

嬉しがっていますが。

「おじいちゃんが死ぬことはもうはっきりしてるの。ガンだから…」

マーガレットが夫ブリックに打ち明けます。

この家には、おじいちゃん、おばあちゃん、グーパーと妻メイとその子供達、

ブリックと妻マーガレットがいます。

グーパーとブリックがおじいちゃんの息子です。

色々問題のある家でマーガレットがグーパーの子を「首なしお化け」と嫌い、

おじいちゃんはおばあちゃんを嫌い、ブリックは同性愛者でアル中気味。

グーパーはおじいちゃんの遺産をブリックにやらずに相続しようと画策中。「(メイとマーガレットは)猫みたいに神経質だ」とおじいちゃん。

「やけたトタン屋根の二匹の猫みたいに?」とブリック。

これだけ問題のある家庭なら神経質にもなりますw

さて、おじいちゃんの誕生パーティーの時、酔ったブリックは

「これが最後のおめでとうだってみんな知ってるんだぜ」と

言ってしまいます。

ショックを受けるおじいちゃん。

その後、マーガレットは子供が出来たと嘘をつき、

束の間おじいちゃんを喜ばせます。が、メイに簡単に見破られます。

メイと喧嘩したグーパー夫妻は、最後は慰めあうのでした。

アメリカ南部の家庭での問題のごった煮のような戯曲です。

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2008-07-16

『悪の華』ボードレール

12:05

著者ボードレールは、『悪の華』以外には大した著作はないのですが、

この詩集だけで近代詩を一変させてしまいました。

ただ、この詩集は風俗壊乱の罪に問われ、

六つの詩が禁断詩篇とされました。

今読むと大して卑猥とも思えませんが。

女性を描いた詩や、退廃的な詩が多く見られます。

「つい見とれるよ、ものうげな人、

  美しい君の体の、

 ゆらゆら揺れる布のような、

  肌のきらめき!」

「踊る蛇」という題名ですが、明らかに女性のことと思われます。

「微妙な空気が、危険にみちた甘い香が その褐色の

  体のまわりに漂っている」

「猫」という題名ですが、やはり女性のこと?

「猫」という詩が3編、「憂鬱」という詩が4編ありまして

もう少し題名の工夫は無かったものかとw

新たな詩の形を求めたボードレールは

「未知なるものの奥にあらたな何かを見つけたいのだ!」

と「旅」という長詩で詩集を締めくくっています。

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2008-07-13

『桜の園』チェーホフ

20:19

桜の園を所有する女地主ラネーフスカヤが、パリから戻ってきます。

亡くなった夫や息子への悲しみを癒すための旅でしたが、

男に金を巻き上げられ、却って傷ついての帰宅でした。

養女ワーリャと商人ロパーヒンの間には結婚の噂が持ち上がっていました。

ロパーヒンは、桜の園を別荘地として活用すれば儲かると口説きますが、

一家は断ります。

また、亡くなった息子の家庭教師だったトロフィーモフが現れ、

悲しみを新たにするラネーフスカヤ。

もっとも、実の娘アーニャはトロフィーモフと意気投合。

「どうして私、前みたいに桜の園が好きじゃないのかしら」

「あなたのお祖父さんや曾お祖父さんや先祖達は皆、

農奴制の支持者で、生きた魂を所有してきたんですよ。

この庭の桜の一本一本から…人間達があなたを睨んでやしませんか」

家計が傾いているにも関わらず、金銭感覚が無く舞踏会を開くラネーフスカヤ。

兄のガーエフはロパーヒンと一緒に桜の園の競売の会場へ。

ガーエフは泣きながら帰宅。

ラネーフスカヤ「桜の園は売れてしまったの?」

ロパーヒン「売れました」

ラ「誰が買ったの?」

ロ「私が買いました」

最終幕、皆が嘆いているのに

アーニャは「古い生活よ、さようなら!」

トロフィーモフは「今日は、新しい生活!」

などとカップルが盛り上がっていますw

一家が立ち去った後、桜を切り倒す音が空しく響きます。

桜の園はロシアの華やかであった貴族の象徴、

それに代わって台頭してきたブルジョワの象徴の別荘が建てられる…

という意味です。

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