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上関原発工事 中電に焦りの色

2009年09月16日

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中国電力の船(奥)は、反対派の船(手前)から拡声機を通じ大音量で抗議を受けた=平生町

  上関原発計画を進める中国電力の海面埋め立て工事着手をめぐり、同社と反対派の海上でのにらみ合いは15日も続き、この日も作業は中止となった。日曜日の休日を挟んで5日連続の作業中止という異常事態に、同社は16日の作業も中止して、作業の進め方を検討するという。「仕切り直し」に追い込まれ、焦りの色も見え始めた中国電力に対し、反対派は勢いづいており、同社が工事を取りやめない限り抗議行動を続ける構えだ。

  ◆ 5日連続中止 反対派に勢い

  15日は早朝から激しい雨が降り注ぐなか、同社は午前7時半すぎから、田名埠頭(ふとう)に保管中の灯浮標(ブイ)をクレーン付き作業台船に積み込もうと接近を試みたが、祝島漁民らが漁船約20隻を一列に並べて停泊させ、抗議した。

  同社上関原発準備事務所の幹部は「もやいを解いていかりを揚げて……」と呼びかけたが「祝島の人々の心を動かそうと思うのなら27年間を反省してからにしろ」「公有水面埋め立て免許は地元の理解が条件。海は売らんぞ」と反撃の声がたびたび飛んだ。

  反対派は、同社の警戒船が漁船に近づくたび、「無理やり入ってきたら危ない。けが人を出したいのか」と呼びかけたり、シーカヤックが警戒船と数メートルまで近づいたりして牽制(けんせい)した。

  同社幹部は「先週から拘束され、損害が蓄積されている。工程に影響が出ることが懸念される」と訴えたが、漁船から「祝島は何年迷惑したのか。とっととうせろ」と罵声(ばせい)を浴びせられ後退。「理解を得て作業を続けるのは難しい」として、午後2時ごろ中止を漁船に告げた。

  5日間の作業中止について、同社上関原発準備事務所の村田誠総務・広報部長は「理解して頂くよう努力してきたが、努力が足りなかった」と話したが、工事については「話し合いの場で理解していただきたい。中断は難しい」と述べるにとどめた。

  一方、埠頭そばの道路沿いには反対派約80人が座り込んだ。町議会出席のため、抗議行動に参加しなかった「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸貞夫代表も「5日間もほぼ連続で抗議行動を続けたのは初めてではないか」と話す。「1次産業ではやっていけない」「原発ができれば子どもや孫が中電に採用されます」との同社の呼びかけには「『上から目線』で、島民はばかにされたように感じて腹を立てた。抗議行動は続ける」と話した。

   ◇

  二井関成知事は15日の定例記者会見で「膠着(こうちゃく)状態が続いていることは残念だ」としたが、「あくまでも事業者が事故のないように留意をしながら対応していくべき問題。県として具体的に何をすべきかは考えていない」と話した。

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