上関町長島での原発建設計画を巡り、埋め立て工事の着手を目指す中国電力は14日、2日ぶりに作業を再開したが、同町祝島の漁民らと海上でのにらみ合いが続き、中電は午後4時過ぎ、作業を断念した。阻止行動は4日間に及んでいるが、同日開会した上関町議会で柏原重海町長は静観する姿勢を強調した。
町議会には、阻止行動に参加した祝島の町議2人も出席、一般質問に立った。「上関原発を建てさせない祝島島民の会」代表を務める山戸貞夫町議が、にらみ合いの際に「農漁業だけでは将来、島の生活は立ちいかなくなる」などと発言した中電を「見下した態度」と批判。「島民の多くが怒っており、冷静に話し合いできる状況にない」と述べた。
柏原町長は「祝島の皆さんのいたたまれない気持ちはよく分かるが、私は町の活性化のため原発を推進する立場。中電には、誠意ある対応をしてほしいと注文している」と答弁した。取材に対し、柏原町長は「相反する両者の間に入って、意見を申すことは難しい。埋め立て着手が進まないとしても、急ぐ必要はない」と話した。
一方、灯浮標(ブイ)を置いてある平生町田名埠頭(ふとう)の海上では、早朝から漁船約25隻が集まった。中電は午後から、10~12日の姿勢とは一転、阻止する漁船の名を読み上げたり、作業船の進路をふさぐ行動を「違法行為にあたる」と繰り返し警告。「必要な作業時間が少なくなり、刻々と損害も蓄積されている」といらだちも隠さず、進路を開けるよう強い口調で求めた。【近藤聡司、内田久光】
〔山口版〕
毎日新聞 2009年9月15日 地方版