上関町長島での原発建設計画を巡り、埋め立て工事の着手を目指す中国電力と同町祝島の漁民らとのにらみ合いは12日も約8時間続いた末、中電が作業を断念した。県内の反原発グループらが灯浮標(ブイ)が置いてある平生町田名埠頭(ふとう)に集まり、抗議集会を開いて島民の阻止行動を支援した。
この日も早朝から祝島の漁船約20隻が埠頭近くで岸壁への進路をふさぎ、中電の再三の移動要請を無視。しかし、「(原発建設で)海が壊れるということは絶対と言っていいほどありません」との中電の呼びかけに、漁民らは猛反発。漁船を中電の船に近づけ「放射能で汚染されることは分かり切っている」などと叫んだ。
中電は13日の作業を休み、14日から再開予定。漁民側は「やれるだけのことをやる」と話している。
田名埠頭の陸上では上関原発に反対する「原水爆禁止山口県民会議」など3団体が海面埋め立てへの緊急抗議集会を開き、祝島の漁民や支援者ら約250人(主催者発表)が参加した。
集会を呼びかけた「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸貞夫代表は中電を「安全で平和に暮らしたい島民の気持ちを分かっていないし、分かろうともしない」と改めて批判。同会議の岡本博之議長は「祝島のみなさんが『絶対にいやだ』と言い続けている限り、原発が建ったらおかしい」と強調、多くの支援を求めた。
同会議によると、上関原発建設計画の中止を求める署名活動は今月初め、県内で目標とする10万人を超えたという。同会議などは10月2日、全国で集まった署名と共に経済産業省へ提出する予定。【近藤聡司、内田久光】
〔山口版〕
毎日新聞 2009年9月13日 地方版