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上関原発建設計画:「中電帰れ」海上に怒声 反対漁民、阻止行動ドキュメント /山口

 7時間を超えるにらみ合いの末、埋め立て工事初日の10日の作業が延期された上関原発計画(上関町)。平生町の田名埠頭(ふとう)から灯浮標(ブイ)を積み込もうとした中国電力に対し、反対派の漁民らは海上で阻止し、埠頭周辺では「原発絶対反対」というのぼりを30本以上立て、反対の声を上げた。【近藤聡司、内田久光、丹下友紀子】

 ◇反対漁民、阻止行動ドキュメント

午前6時(海上)

 上関町祝島の島民が漁船約30隻でブイが置かれた平生町の田名埠頭に集結。

7時半(海上)

 クレーン台船が埠頭沖に到着。漁船団が進路を阻み、埠頭沖100メートル付近でストップ。

7時54分(海上)

 中国電力上関原発準備事務所の松蔭茂男副所長が船上から拡声器を使い、反対派島民に進路を開けるよう1回目の呼びかけ。以降、午前9時から1時間おきに説得を続ける。

9時半(埠頭)

 参加した70人が、それぞれの思いを海上にいる中電へ叫ぶ。大学のサークルで被爆者とかかわってきたという山口大大学院1年、満江亮さん(24)は「都会に住む人や若い人が原発について考えなければいけない」。

11時(海上)

 中電が拡声器で船の移動を呼びかけ「30年以上、島根原発を安全に管理している。その電気を祝島にも供給している」と訴える。漁船から「勝手なことを言うな」と怒声。

同(埠頭)

 「帰れ」「中電帰れ」のコールが5分間以上続く。

正午(海上)

 中電が「原発は発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない。ここから見える平生町の風力発電も同じだが、今(風が無くて)風車が止まっている。原発は止まることはない」。

同(埠頭)

 前県議の小中進さん(61)が「中電は原発について、CO2が出なくて地球温暖化対策になると言うが、放射能はどうなんだ。きちんと説明しろ」とマイクで声を張り上げる。

午後3時20分(埠頭)

 「今日の作業は中止します」と中電が発表すると、参加者から拍手。「戦いは明日もあさっても続く」とマイクで訴える男性も。

3時半(海上)

 「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸貞夫代表が「中電の説得には、うそばかりの作文を聞かされるようであきれた。埋め立ては確実に海を壊す。これまでの阻止行動とは意味合いが違う」。

〔山口版〕

毎日新聞 2009年9月11日 地方版

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