中国電力が上関町長島で進める原発計画に反対する「長島の自然を守る会」(高島美登里代表)は8日、広島市の中電本社を訪れ、「生態系に影響するのは明らか」として、埋め立て工事の中止を申し入れた。中電は「国が示す環境アセスメントのやり方で調査した。問題ないとの結果が出たので、埋め立ては始める」と答えた。
守る会は、中電が08年5月~09年6月に建設予定地と周辺海域でカンムリウミスズメの生育状況を調査した結果について「通年での生息を確認したのに、影響がないはずはない」と主張。中電は「建設予定地では繁殖しておらず、今後も営巣の可能性は低い。万が一、工事中に姿を認めた場合、きちんと対処できるよう作業員を教育する」と答えた。
また、守る会は今年7月、建設予定地から約3キロ離れた天田島で県準絶滅危惧(きぐ)種のオオミズナギドリの巣穴を確認し「瀬戸内海での営巣の確認は初めて」と報告。埋め立てに着手せず、カンムリウミスズメと併せて複数年にわたる詳細な調査を求めた。中電はオオミズナギドリについて「飛翔して移動できる鳥。工事が生育に影響するとは思えない」と答えた。【近藤聡司】
〔山口版〕
毎日新聞 2009年9月9日 地方版