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【産経抄】9月13日
このニュースのトピックス:産経抄
そりゃあ、さぞ心労が重なっていたことだろう。就任以来、一部のメディアによるネガティブキャンペーンはすさまじかった。閣僚の度重なる不祥事に足を引っ張られ、官邸スタッフの不手際も目に余った。
▼安倍晋三首相は、参院選大敗の時点で本当は辞めたかったのかもしれない。それにしても、インド洋で海上自衛隊が給油活動を継続することに、「職を賭する」と大見得をきったばかりではないか。あくまで反対の立場の民主党の小沢一郎党首と、国会で丁々発止の論戦を繰り広げるのを期待していた。
▼テロとの戦いの現場にも赴いて、国民に、給油活動の重要性を説明してほしかった。11日付小紙に掲載された世論調査では、テロ特措法延長に賛成の声が、反対を上回っていた。明らかに潮目は変わりつつある。それが、小沢氏から党首会談をことわられたからといって、投げ出すとは。
▼「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置きまし大和魂」。首相が尊敬する吉田松陰が、死刑判決を受ける前日、書き上げた遺書『留魂録』にある歌だ。ひるむことを知らない松陰の生き方は、志士たちの奮起を促し、維新を導いて、現代に生きる人々をも魅了する。
▼「局面を変える」ために逃げることが、松陰の意にかなうものなのか、首相はわかっているはずなのに。健康上の理由もあったらしいが、世界の笑いものになったことには変わりない。
▼今さら、ウェーバーの『職業としての政治』を引くのも気が引けるが、最低条件として、後継首相は、政治家を「天職」とする人物であってほしい。すなわち、「断じて挫けない人間」であり、「どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間」のことである。
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