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〒100−8981
東京都千代田区永田町
2-2-1
衆議院第一議員会館
605号室
Tel 03 - 3508 - 7175 |
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2006年4月7日
みなさま、小沢一郎でございます。
いま、民主党が直面している危機を乗り越えて、もう一度、政権交代を実現する態勢を確立するため、私は私の全てをかけて、本日の代表選挙に立候補いたしました。
政権交代こそが、日本の真の構造改革であります。その信念に基づき、十三年前、自民党を割って出て細川連立政権をつくり、二年半前、自由党を解党して民主党に合流いたしました。民由合併にご尽力下さった当時の民主党代表、鳩山さん、菅さんをはじめ、皆さんには本当に感謝しております。
民由合併の原点は、政権交代可能な二大政党制を日本に確立することでありました。ところが今、民主党は極めて深刻な危機に直面しています。このままでは、二大政党制そのものが崩れ去り、政権交代が永遠に起きないという、民主主義ではきわめて変則的な事態に至ってしまうのであります。
私は、三十六年間に及ぶ政治家としての経験と思いの全てをかけて、この局面の最前線に立ち、ここにいらっしゃる一人一人の同志とともに、この事態を真正面から受け止めて、民主党の信頼回復を果たし、再度、政権交代への狼煙を上げたいと思います。
民主党への合流を決断した時、民主党こそが、自民党に代わって政権を担い、政治を官僚から国民の手に取り戻して、国民に夢と希望を与えることができると確信しました。だからこそ、私はそれまでのすべてを投げ捨てて民主党に入ることができたのだと思います。私は民主党で温かく迎えられ、多くの同志に巡り会いました。それは私の政治生活において、自由党とともに捨ててきたものを上回る大きな財産であります。ましてや、この代表選挙において幅広い同志の方々からご推挙をいただいたことは望外の喜びであり、今こうして政見発表の壇上に立っていることが信じられない気もいたします。
その民主党がいま、いわゆる「堀江メール」問題による極めて深刻な危機に直面し、あと半歩しかないという崖っぷちに立たされているのであります。
民主党再生の要諦は、挙党一致の実現であります。先の世界野球選手権WBCの日本チームは、一度は敗退かと思われた時に、選手一人一人が個性を発揮し、持てる力を全て出し切って、世界一の座、金メダルを獲得しました。民主党も「オールスターキャスト」で、全員が力を出し切れば、政権交代という金メダルを必ず手にすることができると確信しております。
まず、来年の参議院選挙には、私と民主党の命運をかけて臨みます。民主党では、参議院の存在感がますます高まっています。自民党・公明党を参議院過半数割れに追い込み、一日も早く衆議院総選挙を実現して、一気に政権交代を果たさなければなりません。参議院選挙の必勝のために、参議院議員の皆様、衆議院議員の皆様とともに、今から全力で走り出したいと思います。
それでは、具体的に私の政策について、その一端をお話しいたします。
日本は、でたらめな「小泉政治」の結果、屋台骨が崩れ、迷走を続けています。それを建て直すには、明確な理念と設計図が不可欠であります。その理念は、「共生」、共に生きるということであります。人間と人間との共生が「平和の問題」であり、人間と自然との共生が「環境の問題」であり、その両面で日本が世界のリーダー役を果たしていくべきであると考えます。
市場万能主義が世界を覆い、ともすれば、地球環境や人の命よりもお金や自分の利益が優先されがちな昨今の日本や世界の中で、私たち日本人は、千年以上前から共生の知恵として「和の文化」を築いてきました。それだけに、共生の理念と政策を世界に発信できる能力と資格が十分にあると考えております。特に、人間と人間との共生、平和の問題について言えば、日本国憲法の理念に基づき、国連を中心とする安全保障の原則を確立するとともに、日米関係を機軸としながらも、中国、韓国をはじめとする近隣諸国との関係を改善し、アジア外交を強化しなければなりません。
次に内政の重要課題を三点申し上げます。
第一に、新しい日本を担いうる人材を育成するため、人づくりを、何よりも重視したいと考えます。今日の日本社会の荒廃は、日本人の心の荒廃そのものであります。このままで推移すれば、日本は滅亡への道を歩んでいくに違いありません。先日お目にかかった瀬戸内寂聴さんのお言葉を借りれば、日本社会を建て直すには少なくとも百年かかるとのことでありましたが、私は従来から、どんなに頑張っても、ワンジェネレーション、三十年はかかると主張してまいりました。いずれにせよ、人づくりの問題は短期間に成し得るものではありません。いまから政府が、すべての国民が、真剣に取り組んでいかなければならない重要な長期課題であると考えます。
第二に、地域の自主性と個性を重んじる「地域主権の国」づくりを実現し、政・官・業のもたれあい構造と、官僚主導の中央集権政治を打破します。その第一弾として、中央省庁からのヒモ付き個別補助金は全廃して、全て自主財源として地方に一括交付し、地域のことは各地域で決められるようにします。
第三に、経済・社会の真の構造改革を断行することであります。「小泉政治」は自由と身勝手とを混同した結果、弱肉強食の格差社会という妖怪を生み出してしまいました。本当の自由とは、誰もがともに生きていける「共生」の理念が前提であり、それを保証する規律と責任を伴うものであります。その「共生」のルールが公正というものでありましょう。
民主党の政権構想の基本は、これまでの党内論議を踏まえつつ、政治、経済、社会の全てにおいて、筋の通った「公正な国」をつくることだと考えております。それによって初めて、でたらめな「小泉改革」によってボロボロになった日本を建て直し、真に豊かで世界からも尊敬される日本を築くことができるのであります。一部の「勝ち組」だけが得をするのは、自由ではなく、公正でもありません。私たち民主党の目指すべき社会は、黙々と働く人、努力する人、正直者が報われる「公正な社会」であります。その「公正な国」づくりのビジョンに基づき、政策立案、国会論戦、日常活動の全てにおいて、自民党との「対立軸」を明示していきます。
私自身が闘いの先頭に立ちます。その準備としてすでに、十三年前に世に問うた『日本改造計画』をさらに具体化させ、新しい日本の設計図を国民に明示する著書を執筆中であります。その「設計図」を基に党内論議を深め、合意を得たうえで、民主党の政権構想を高く掲げて、来年の統一地方選挙と参議院選挙を戦い、必勝を期そうと考えております。
また、もし私が代表に選出されても、任期の切れる九月には、党所属地方議員、党員・サポーターも参加する代表選挙を実施し、よりオープンな形で、徹底した政策論議を行いたいと思います。
このように挙党一致を実現してこそ、民主党は初めて、国民が一度は政権を任せてみたい、さらには安心して政権を任せることができると思えるような、「信頼され、安定感のある野党第一党」になることができるのだと信じております。
最後に、私はいま、青年時代に見た映画『山猫』のクライマックスの台詞を思い出しております。イタリア統一革命に身を投じた甥を支援している名門の公爵に、ある人が「あなたのような方がなぜ革命軍を支援するのですか」とたずねました。バート・ランカスターの演じる老貴族は静かに答えます。「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない。英語で言うと We must change to remain the same. ということなんだそうです。」確かに、人類の歴史上、長期にわたって生き残った国は、例外なく自己改革の努力を続けました。そうなのだと思います。よりよい明日のために、かけがえのない子供たちのために、私自身を、そして民主党を改革しなければならないのです。
まず、私自身が変わらなければなりません。そして、皆様に支えていただきながら、民主党を改革し、さらに日本を改革しようではありませんか。私はこの闘いに政治生活の全てを注ぎ込み、ひたすら目標に邁進し続けることをお約束いたします。皆様のご理解とご支持をお願い申し上げます。ありがとうございました。
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