「2009年 政権交代」

2009年 政権交代

2009年9月15日(火)

移民受け入れ、是非を論ずる段階ではない

対談「新政権で日本はどう変わるか」(下)

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 ソ連的な全体主義国家からナチスまで、両方に対してノーと言っている。つまり、右も左もノーだと。なんですが、英文を見ると、米国だけ一方的に批判しているようになっている。

米国はアジアに歩み寄ろうとしているのに

 渡部 「アジアの共同体に日本は参加する」。これも悪くないんだが、米国を入れるとも言っていないし、米国に配慮するとも言っていない。これに対して、米国が非常に不安に思うことを全く分かっていない。

 最近、米国は東南アジア友好協力条約(TAC)の加盟国になったりして、非常に歩み寄っているわけですね。バラク・オバマ大統領が今、何を考えているのか、英訳した人は分かっていないんだと思います。まあ、ずれてるわけですよ。

 おそらく日本人の大半は、日本を社会主義国にしようなんて思っていない。行き過ぎた市場原理がもたらす負の部分は的確にカバーしようと思っているだけでしょう。米国の共和党の一部は別にして、米国の民主党や、欧州の多くの人たちとは共有できる感覚です。

 それが、日本で整理して語られないのは、これまでは自民党が全部カバーしちゃっていて、争点にもならなかったからです。自民党と対峙していた以前の社会党に、ゴルディロックス的な発想なんてありませんから。

 ところが、これからは、ゴルディロックスの中で右か左かの勝負が決まる。そうでなければ、最終的に日本人のマジョリティの心はつかめない。

グローバル化と地方の問題、相性は悪くない

竹中 正治(たけなか・まさはる)氏
龍谷大学 経済学部教授
1979年東京大学経済学部卒、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)の為替資金部次長、調査部次長などを経て、2003年3月よりワシントン駐在員事務所所長。ワシントンから米国の政治・経済の分析リポート「ワシントン情報」を発信する傍ら、National Economists Club(WDC)役員を務めるなどエコノミストとして活動。2007年1月から2009年3月まで国際通貨研究所チーフエコノミスト、2009年4月より現職
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 竹中 あと、マニフェストを巡る議論の中で、民主党が経済成長に対する戦略が明確でないという批判がある。

 1990年代から急速に進んだ金融のグローバル化に日本が適応できていない。一応、変革は進んでいるのだけれども、いろいろなものが後追いになっている。これに対して鳩山内閣がどう向き合うかが分からない。

 例えば、農家に対する戸別所得補償。欧州だって米国だって、莫大な補填をやっているわけだから、必ずしも否定はしないが、そこから日本の農業の未来は生まれてこないでしょう。

 圧倒的に高齢化してしまった農業の次の世代の担い手をどうするかという問題です。これは、難しいけれど、避けて通れない。

 それから、少子高齢化の問題。このまま老人国家になっていいんだろうかという問題がある。

 渡部 やはり、政治的な鍵を握るのは、自民党が負けた大きな要因である「地方」なんですよ。投じる票が都市の2倍の重みを持つ地方を放置しておいて、国全体が豊かになるなんていうのはたぶん、長続きしない。

 地方や農業の問題と、グローバリゼーションを合わせて考えるべき。「アジアと地方」というのは実は相性は悪くないし、整合性も取れる。これは、東京など「中央の発想」では出てきません。

参考になる豪州の移民政策

 竹中 1つのやり方として参考になるのが、豪州の移民政策です。





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2009年 政権交代

 衆院議員選挙の結果、民主党が新政権を発足させることが確実となった。民主党が衆院の第1党となるのは1996年の結党以来、初めてのことだ。民意による初の政権交代は現実のものとなった。
 新政権のもとで日本はどのように変わっていくのか。また、2度目の野党転落となった自民党は今後、どう巻き返しを図っていくのか。

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