今までも日本は、米軍基地にお金を相当出してますし、日本の軍事予算も相当なものです。そういう予算も使って、自分たちはどういうことをやりたいのかというのを総合的に考えるべき時期になった。いわば、スターティングポイントですかね。
竹中 私も、最終的には鳩山内閣というのも日米問題に関するリアリスティックな、選択をするんじゃないかと期待しているのです。
ただ、その第一歩が社民党との連立ですから、試金石になりますね。海外への自衛隊派遣問題に、古くからの固執がある“レフトウイング”の人たちと一緒にどう取り組んでいくか、注目されます。
社民党は現実路線を取るか?
渡部 ヒントがあるとすれば、「自公」ですよね。公明党の支持母体には、かつての社民党のような平和主義、護憲主義の人たちがいた。だから、自公政権は安全保障の足を引っ張るんじゃないかと、米国側からも危惧されていました。
ところがフタを開けてみると、例えば自衛隊をイラクやソマリア沖に送ったのは自公政権なんです。それによって、公明党が離反したりはしていない。
つまり、いざ政権に入ったら、現実を見る。そこに社民党が入るってことは悪いことではないと思います。実際、自社さ連立政権の中で社民党は現実路線を取りました。
さらに今、外交・安全保障政策で、すぐ何かをしてほしいという世論はないんです。国民はむしろ内政に期待している。すると、この政権には時間的な余裕がある。外交・安全保障問題の本番が来年の参院選以降と考えればいい。参院選で過半数を取ってしまえば、連立の必要もなくなる。
ギングリッジ元下院議長は来日した際、「よその国に言うのはおこがましいけれど」と前置きをしつつ、こうアドバイスしていました。「外交・安全保障政策では継続性を。内政では思い切った改革を」。
彼は米国の下院で民主党の多数派独占が40年以上続き、共和党がひっくり返した時の議長なんですね。だから、似たような経験があるんですよ。自身が気を付けていたことを民主党にアドバイスしたいと言っていました。
竹中 とても、説得力がありますね。
(前回から読む)
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