日教組の「悪法支配」を許すな(2)/八木秀次(高崎経済大学教授)、三橋貴明(評論家・作家)Voice9月11日(金) 16時58分配信 / 国内 - 政治
◇外国人参政権は「愛のテーマ」?◇ 八木 今回の衆院選では、共産党も社民党も、何とか改選前の議席数を維持するかたちに終わりました。一方で、民主党のなかに左翼が入り込んでいる。選挙前の話ですが、民主党の長島昭久氏は、民主党内には長島氏のような保守的な考え方の人が2割。はっきりした左翼が2割。残りの6割がどちらでもない、その時々の風でどちらでも動く人たちだと指摘していました。 三橋 本当の左翼の2割の人たちはテレビにもあまり出てきません。出ると一発で党の正体がバレてしまいますから。 八木 ただ、実際の組閣がどうなるかはわかりませんが、民主党のネクストキャビネット(「次の内閣」)の閣僚メンバー21人のうち、6人が旧社会党出身でした。心情的に「左翼組」の菅直人氏や小宮山洋子氏などを足せば、閣僚の3分の1が彼らに占められている計算になります。かなりの実権を左翼勢力が握っていることは、じつは明白なのです。 私は民主党政権は、まさに「自社さ連立の再来」だと思っています。「自社さ連立」の村山政権はわずか1年半でしたが、その期間にそうとうのことがなされています。 歴史認識に関する村山談話しかり、日教組との関係でゆとり教育が強化されたこともしかり。男女共同参画社会基本法の基本的な考え方は、村山政権誕生後1カ月以内に審議会が設置されて決められていった。法制審議会が夫婦別姓や非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにせよという民法改正の考え方を打ち出しましたし、自治労や日教組が現場でやりやすくなるように、地方分権推進委員会を設置して中央省庁の権限を大幅に減らした。とくに文部省は教育委員会に対する是正指導の権限を奪われたわけです。のちのちまで影響力を残せるようなものをかなり埋め込んでいて、それはいまだに克服されていません。 民主党政権はそんなに長くもたないだろうと踏んでいる人がいるかもしれませんが、たとえそうなっても、政権を去ったあとも影響力を行使できるようなものを、おそらく「2割の左翼勢力」が短期間のうちに残していくはずです。 三橋 そのようなもののなかで、いちばん初めに来るのは、やはり外国人の地方参政権ではないでしょうか。 八木 鳩山氏は、代表就任後の6月5日に韓国を訪問して李明博大統領と会談したとき、「鳩山代表は日韓関係や在日韓国人問題で進んだ認識をもっている」と切り出されたのに対し、「おかげで民団の方々の支持をいただいている」と答えていますからね。これでは外国人参政権問題の話で言質を取られたとされても仕方がない。つい本音を出してしまったのでしょう。先ほど三橋さんが紹介された「日本列島は日本人だけの所有物ではない」発言についても、その後質問に答えるなかで、「これは大きなテーマ、まさに愛のテーマだ。友愛といっている原点がそこにある」と語っています。 公明党の太田昭宏氏も6月28日に来日中の李大統領と会談し、外国人参政権について「党として一致して推進していこうというのが公明党の立場。国民の理解を得ながら推進していきたい」と述べ、李大統領から「公明党は誰よりも進んだ考え方をしている」と褒められています。民主党政権の政策に公明党が賛成すれば、たちどころに成立でしょう。 三橋 日本では、同じように地域に住んで、同じように税金を払っているのだから、地方の参政権ぐらい外国人に与えてもいいのではないか、と考えている人がけっこういます。しかし、たとえ地方参政権だけであっても、たとえば一定の主張をもつ外国人が大挙押しかけて一気に片方向に投票活動を行なえば、先の都議選後のようにある種の風が生まれてしまい、その結果、国政選挙に影響を与えることは十分に想定できるわけです。地方参政権だから大丈夫などという理論は成り立ちません。ここはもう「ゼロか100か」の世界で絶対に譲ってはいけない部分だと思います。 八木 自衛隊法でも、地方自治体の長に有事の際に一定の権限を与えています。日本ではあまり意識されませんが、ほかの国では国籍をもつということは、その国の国防の義務を有するということです。他国に対して国防の義務をもつ外国人が、地方自治体の政策を左右することは、直接に国防安全保障に関わる問題になってしまいます。 三橋 「対馬は韓国のものだ」という議論が韓国では盛んで、韓国の地方議会には対馬は韓国領だと決議したところすらあります。もし本当に外国人参政権が通ったらどうなるでしょう。たとえば運動が盛り上がって、何十万の在日韓国人が対馬に外国人登録を移し、対馬の議会で「対馬は韓国のものだ」と議決したらどうなるか。そんな状況が起こりうることだって考えなければいけません。 諸外国を見ても、外国人参政権のせいで社会が分断状態になってしまった例も多い。たとえばオランダでは外国人地方参政権を実現した結果、もともと大量に入ってきていたイスラムの人たちが参政権をもつことになった。そして地方コミュニティがバラバラになり、異文化対立が先鋭化してしまいました。そういうことを知ってなお、外国人参政権に賛成する人がいるのでしょうか。 八木 だいたい、「かわいそうだ」ということから話が始まるのです。しかし、本当にそういう問題なのでしょうか。アメリカのある州では、外国籍の人には税金を多く課しているという話を聞いたことがあります。いわばスポーツクラブなどの「ビジター扱い」です。つまり、「インフラを整備し治安を維持するために、住民たちはこれまで多くのお金と汗を費やしてきた。それが出来上がったあとにやってきた外国人に『長年住んできた住民たちと同じように扱え』といわれても困る。メンバーとビジターは違うのだから、ビジターは余計にお金を払うべきだ」ということです。「税金を払っているんだから、地方参政権ぐらい与えても」という理屈は成り立たないのです。 三橋 そもそも外国人というのは区別されるべき存在で、区別が要らないのならパスポートだって要らないわけです。たとえばシンガポールでは、女性が外国からシンガポールに働きに来て妊娠した場合、国外追放です。生まれてしまうと子供に国籍を与えなければならなくなるからです。 基本的に外国人が移民してきたり、あるいは働きに来るのは、その国に魅力があるということです。である以上、受け入れ側としては、無制限に流入しないように防衛する必要がある。シンガポールの話に私はかなりショックを受けたのですが、でもそれが世界的に見れば当たり前なのです。 【関連記事】 ・ 祖父・一郎に学んだ「友愛」という戦いの旗印 鳩山由紀夫 ・ 郵政見直しが招く大損害 竹中平蔵 ・ ニコニコ動画のお粗末 山形浩生 ・ ハコモノ廃止は“ご近所の力”で 佐々木陽一 ・ グリーン革命の楽観論 伊藤元重 ・ グーグル情報革命の崩壊 山本一郎 |
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