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天下り先家賃も丸抱え 厚労省系行政法人、委託費を濫用(1/2ページ)

2009年9月14日3時23分

 厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」が、同省OBの天下り先の公益法人「雇用開発協会」の事務所家賃など諸経費も、委託費でほぼ丸抱えしていたことが、協会関係者らの話でわかった。委託事業で実際に経費がいくらかかったかのチェックは見過ごされてきたという。

 08年度決算では委託費約62億円のうち、47都道府県の協会の諸経費は総額約10億円。同機構が天下りOBの収入を、厚労省交付金などで賄う委託費で保証するシステムが明らかになったが、経費の丸抱えも、天下り団体に対する厚遇の一つとされる。協会関係者は「委託費が使い切れないほど余り、数年前まで他に流用していた」と証言しており、ずさんな公金支出が繰り返されていた。

 朝日新聞が入手した、同機構が今年3月に47協会側にメール送信した「事務連絡」文書などによると、高齢者などの雇用支援事業の発注をめぐり、同機構は、各協会事務所の土地建物の年間の賃借料は95%まで、光熱費などは年11カ月分までと、委託費で負担できる経費の上限額を細かく契約前に指示。ほとんどの協会は、事業にどれだけ経費がかかるかを精査することなく、この上限に従って事業の見積もりを作成し、同機構に提出。機構はそのまま契約していた。少なくとも5年以上前からこの契約方法が続けられていたという。

 委託費は実費精算され、諸経費を含めて事業に使われなかった分は、協会側から同機構に後から返還するルールがある。だが、協会関係者によると、委託費は余る場合が多く、ほかの用途に流用していた。この流用は、会計検査院が06、07年度の検査報告で不正を指摘するまで続いていたという。

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