山岳救助に向かった3人が死亡する惨事となった北アルプス奥穂高岳・通称「ロバの耳」で起きた県防災ヘリ「若鮎2号」の墜落事故。08年度の県防災ヘリの出動件数は過去最多の215回に達し、5年前の3倍近くになっていた。今回の事故は、登山者の救出のためなどで山間部への出動件数が増えている中で起こった。【山田尚弘】
県防災ヘリは、救急(転院)、救助、消火活動のほか、訓練の災害予防対策活動などで出動する。
県防災航空隊が発足した94年に、「若鮎1号」(川崎式BK117B-2、定員10人)が導入され、97年4月には今回墜落した「若鮎2号」(ベル式412型EP、定員15人)も導入され、全国的にも珍しい2機体制となった。
岐阜は山間部や河川地帯が多く、機動性のあるヘリは山岳遭難や豪雨災害で威力を発揮するため、出動件数も年々増えてきた。08年度は2機で215回、計190時間を運航。中でも捜索救助活動は94年の導入当時は5件だったが、ここ数年は50件程度に増え、山岳での捜索救助も増えている。
県防災課によると、2機が持つ機能に基本的な違いはないが、2号の方がエンジン性能が高く、標高が高い場所でも飛行できるという。2号は今回亡くなった操縦士の朝倉仁さんが専従で運航していた。2号の山岳での捜索救助活動は08年度は6件、今年度は11日の出動も含めて3件あった。
04年度からは、ヘリに岐阜大医学部付属病院の医師が搭乗し、交通の便が悪い地域から大規模病院に患者を搬送する「ドクターヘリ」としての運航も行っている。
他県の防災ヘリに応援要請をするための協定も近隣8県1市と結んでおり、08年度は5回出動した。
毎日新聞 2009年9月13日 地方版