 |
| 狭山事件第３次再審へ向けた３者協議後、弁護団と会見に臨む石川一雄さん（前列中央）＝１０日午後５時１５分すぎ、東京・霞が関の司法記者クラブ |
「今まで裁判所は書面審査だけで判断し、検察は証拠開示に応じなかった。しかし、３者協議では踏み込んで弁護側の意見を聞いてくれ、一歩前進」－。狭山事件再審弁護団の中山武敏主任弁護人は１０日、東京高裁面会室で行われた東京高裁と東京高検、弁護団の３者協議を高く評価した。
弁護団によると、３者協議では門野博裁判長が積極的に動き、弁護団が求める殺人現場とされる雑木林でのルミノール検査の有無など約２０項目にわたる証拠開示の有無を１０月末までに返答するよう求めた。これを受け、１２月の３者協議で高裁がその証拠の開示を勧告するか、命令するか判断するとみられ、引き続き３者協議は続けていくという。
この日、東京地裁の司法記者クラブで行われた記者会見に出席した、冤罪（えんざい）を訴える石川一雄さん（仮出獄中）は、こうした高裁側の姿勢について「科学の進歩で脅迫状の筆跡や自白と食い違う筆記用具の問題など最新の（科学で分析された）証拠を提出し、裁判官が動くようになった。事実調べで真実が明らかになるところまでやっと漕ぎつけたかなと思う」と述べ、今後の進展に期待した。
妻の早智子さんも「３者協議で証拠開示してもらいたい。そうすれば再審の道が開けると信じている」との心境を語った。
しかし、弁護団によれば、東京高検の対応は固く、「１０月までに返事ができるか分からない」との姿勢に終始。このため門野裁判長が「ならば、中間報告でもよいから出しなさい」と態度を硬化する場面もあったという。
狭山事件の第３次再審請求の審理は具体的に動きだしたが、証拠開示をめぐって、検察、弁護団が対立し、予断を許さない情勢となっている。
|