広島少年院で起きた収容少年への暴行・虐待事件で、法務省は10日、対策委員会の調査報告書を発表した。虐待の中心となった法務教官4人の問題のほか、幹部や他の職員の当事者意識の欠如も指摘。適正運営に向けて少年院法改正などの検討が必要とした。
報告書は4職員の虐待の背景に、胸ぐらをつかむなどの有形力行使が規律維持に有効と考えていたことがあるとし、それがエスカレートして暴力や紙おむつをはかせるなどの虐待に発展したとした。
また、院長や次長ら幹部職員は昨年2月以降、暴行の情報を受けたのに調査せず、着衣をつかむなどの言動を見聞きしても対応を怠った。他の職員も、少年が職員の言動を書いた日記を破り捨てるなど、4職員と共通する問題があったと指摘した。
一方、法務省が同少年院を除く全少年院の収容少年に実施したアンケート(3428人回答)では、「暴力をふるわれたことがある」が2.1%、「乱暴な言葉や傷つくような言葉を言われた」が11.6%あった。全少年院職員への無記名アンケートでも、約1割がかつて暴力をふるうなどしたと回答した。【石川淳一】
広島矯正管区は10日、07~08年度当時の院長や首席専門官などの監督職員5人、法務教官12人の処分などを発表した。
07年度の中川崇院長(61)は戒告、08年度の梅崎照行院長(61)は減給6カ月(5分の1)の懲戒処分とした。収容少年の胸ぐらをつかんだ法務教官(31)は停職2カ月の懲戒処分などとした。【寺岡俊】
毎日新聞 2009年9月11日 12時15分